『スウィート17モンスター』 (2016) ケリー・クレイグ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

ナディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は、小さい頃から自分を理解しているのは父親だけだと思っていた。その父の死は、彼女にとって誰も自分を愛している者はいないと思わせた。ただ一人の幼なじみの親友クリスタを除いては。しかし、彼女が学園の人気者の自分の兄と付き合うことになって、彼女たちの友情にひびが入ることに。

 

アメリカ映画の定番のテーマである、いわゆる「Coming of Age」物。『スタンド・バイ・ミー』や『ブレックファスト・クラブ』といった超定番を始めとして数多くの作品が作られている。このジャンルでは、個人的には『あの頃ペニー・レインと』や『6才のボクが、大人になるまで。』がお気に入りの作品。最近観た『スーパーバッド童貞ウォーズ』(2007年)もなかなかだった。

 

数多く作られていれば、やはりテーマに深さや新しさが求められる。例えば『JUNO/ジュノ』は、予期せぬ妊娠をしてしまった16歳の女子高生ジュノの9ヶ月間の成長を描いているが、事の重大さを大げさにせずハートフルなコメディに仕立てていた秀作だった。

 

どことなくその『JUNO/ジュノ』に似た感じを受けたのがこの作品(顔立ちというより、ヘイリー・スタインフェルドの話し方がエレン・ペイジに似ているせいかもしれない)。

 

常に自分を見つめる自分がいて、自分のなにもかもが好きになれないという自己否定はあり得る話。それを極端に体現しているのが主人公と思ってもらえばよい。そして彼女が最も忌み嫌っているのが、スーパー・ポジティブで学園のアイドルの兄。その彼と幼なじみの唯一の友人がベッドを共にしているのを目撃してパニックに陥いる。彼女の最大の理解者であった父を失った後、その親友だけが心を許せる相手だったのに。

 

17歳と言えばはるか昔のことだが、「ふむふむ」「いやそれは違うだろ」「あちゃー、やっちゃった」と(全て共感するわけではないが、それなりに)入れる映画だった。

 

見方を変えれば、世の中捨てたものではないというハッピーエンド。このジャンルが好きな方には、気軽に観れる作品としてお勧めできる。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『スウィート17モンスター』予告編