『バーニング・オーシャン』 (2016) ピーター・バーグ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

2013年の傑作『ローン・サバイバー』に続き、史実をピーター・バーグ x マーク・ウォールバーグのコンビで映画化した作品。今回の題材は、記憶にも新しい2010年メキシコ湾原油流出事故の引き金になったBP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホラインズン」の爆発事故。

 

事故を起こした「ディープウォーター・ホライズン」は半潜水式のプラットフォームで、海に浮きながら自動で位置を調節し、深海の海底から石油を掘削することができるもの。

 

映画の前半では事故の原因が、工期の遅れによる損失(1日の遅れは100万ドルの経費増と言われる)を懸念したBPスタッフのリスク管理を軽視した判断ミスであると描かれている。テクニカルタームが頻出して細部まで理解することは困難だったが、それは前半のみ。

 

掘削施設のオペレーションはトランスオーシャン社(深海からの石油掘削を専門とする会社)が請け負っていたが、現場にもBP社のスタッフが数名おり、彼らのいかにもホワイトカラーの鼻持ちならない描写をよくBP社がクレームしなかったなと思った(BP社スタッフの一人をジョン・マルコヴィッチが演じている)。

 

後半の爆発事故のシーンは迫力満点。というか、この映画は爆発シーンの迫力が全てのように感じた。この映画にヒーローはいない。命からがら逃げ、何とか生きようと必死な人間の姿をマーク・ウォールバーグほかが描いている。

 

そうすることで浮き彫りになるのが、この事故で死んだ11人の存在。彼らは遺体が見つかっていないことから行方不明とされている。この映画の中でも、生存者が収容されたホテルに遺族が駆けつけ、生存者に行方不明者の行方を詰め寄るシーンがあり、身につまされた。

 

ただ単なるパニック・アクション映画として観ることもできるが、BPの事故を知っていれば興味は増す。そしてエンディング・クレジットで写される11人の行方不明者の写真を目にして、追悼の気持ちをもつことがこの作品の正しい鑑賞の仕方だろう。

 

★★★★ (4/10)

 

『バーニング・オーシャン』予告編