『ナイスガイズ!』 (2016) シェーン・ブラック監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



ラッセル・クロウとライアン・ゴズリンが組んで、そこそこ高評価のコメディ・アクション『The Nice Guys(原題)』。予告編が面白そうだったので観てみた。監督は『アイアンマン3』のシェーン・ブラック。

これがかなりイマイチ。やはり自分にとってはかなり低評価の『アイアンマン3』の監督だけあった。

ラッセル・クロウは暴力で事を片付ける「示談屋」役。ライアン・ゴズリンの役は、シングル・ファーザーの私立探偵。彼らは協力して、環境活動家であり環境破壊をする自動車産業を非難する映画(そしてそれは人の目を引くためにポルノ仕立てになっている)を作ったティーンエイジのアメリアを探すことに。その依頼をしたのは、彼女の母親である司法省長官(キム・ベイシンガー)。アメリアを探すうちに、彼女の周りで何人もの人が死んでいることを知り、彼らも大きな陰謀が背景にある事件に巻き込まれていくことに。

コメディなのだが笑えない。ライアン・ゴズリンはかなりのコメディアンぶりを発揮していて、それなりにおかしいのだが、コメディとしての面白さはラッセル・クロウとライアン・ゴズリンとの言葉のやり取りに重きが置かれている。それが笑えないのである。アメリカのスタンダップ・コメディを観ていて、観客に大受けしていても、日本人のこちらとしては何がおかしいのか分からないという感覚に近い。言葉の問題でもあり、笑いのツボの問題もあるだろう。

あと、原作はシェーン・ブラック自身によるもので、彼は『リーサル・ウェポン』シリーズやアクション物としては好作品の『ラスト・ボーイスカウト』('91、トニー・スコット監督、ブルース・ウィリス主演)の原作者でもあるのだが、この話が弱い。彼らの巻き込まれる陰謀自体、お粗末なもので、それをたくらむ人物(これが意外というオチなのだが)の動機も訳分からない。

つまりストーリーとしての弱さを、ラッセル・クロウとライアン・ゴズリンの演技でカバーできているのかどうかが評価の分かれ目。

かなりバイオレンスなシーンも多く、刺激にはことかかないが、その刺激の奥にじっくりとした旨みがあるわけではない。激辛料理も、やはり旨みに欠ければ、ただ単に辛いだけで料理としての体をなしてないのと同じ。それでもいいという人もいるだろうし、ただスターの2人が共演して、バカなことをやって、それにアクションがばっちりであれば「面白い!」と評価する人もいるだろうが。

セリフがかなりキモであることは、最近のコメディ・タッチのアクションとしては、自分的にヒット作だった『デッドプール』と同じだが、あの作品の面白さにはほど遠い出来だった。

上映時間の1時間56分が長く感じられた、少し残念な作品。

★★★★ (4/10)

『ナイスガイズ!』予告編