『天才スピヴェット』 (2013) ジャン=ピエール・ジュネ監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



ジャン=ピエール・ジュネ最新作『天才スピヴェット』観賞。

ジュネと言えば、初期は『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』のようにシュールでブラックユーモアたっぷりの映画を撮っていたが、『エイリアン4』でハリウッド進出し、『アメリ』で大ヒットを記録してから、随分毒気が抜けた感じ。

本作はジュネの初3D(3Dにする意味あったのかなあ)かつ英語の作品。ジュネの作品には必ず出演しているドミニク・ピノンが本作にも出ていることを除けば、ジュネらしさが少ない作品かもしれない。

生粋のカウボーイの父は自分に無関心、昆虫の研究に夢中の母も構ってくれず、女優志望の姉は話が通じない。双子の弟が死んでから家族の中に居場所を失った少年は、唯一自分の才能を認めてくれたスミソニアン博物館を目指して大陸横断の列車に乗る。設定やストーリー展開が、ウェス・アンダーソンっぽい感じで、『ザ・ロイヤル・テネンバウム』や『ムーンライズ・キングダム』を面白いと感じた人には間違いなく受けると思われる。

10歳の天才少年T・Sスピヴェットは、双子の弟が銃暴発で死ぬ現場に唯一おり(そこで何が起こったかは敢えて詳しくは描かれない)、罪の意識が家族との溝を作る。結局、無謀な旅の先に見つけたものは家族の愛というハートウォーミングな作品だった。

特筆すべきは西部~中央部の列車の旅で見せるアメリカの原風景とも言える風景の美しさ。これまたジュネっぽくなかったなあ。私生活がハッピーなのか、老成したのか。まあ、『アメリ』ほど面白くはなかったけれど、観て損はないかと。

★★★★★ (5/10)

『天才スピヴェット』予告編