映画『ジゴロ・イン・ニューヨーク』観賞。ジョン・タトゥーロ監督・脚本・主演。ウディ・アレンが14年振りに自作以外に主演。

自分ではあまりあまのじゃくのつもりはないけれど、こういういかにも小洒落て、少なからずの人が分かった風に「いい作品」と評しそうな映画は好きじゃない。

まず子供が6人もいながら、素肌を(愛情をもって)触られたことは長らくなかった高名なラビの未亡人というヒロイン(ヴァネッサ・パラディ)という設定は、かなり複雑。性奴隷的に隷属した女性像と、結局ジョン・タトゥール演じる主人公と別れる原因が宗教的なハードルを越えられなかったであろうという背景も、ユダヤ教の宗教観を理解しない日本人にはほぼ理解不能。

というディープな副旋律を全く感じさせないくらい軽妙に話は展開していく。すると、それ以外の部分があまりにも浅薄でこれまた共感しずらい。
なんで生活に窮するダメ男が高級男娼になれんねんとか、絶倫ぶりを発揮しときながら好きな女性ができたらいきなり萎えるとか、ほとんどストーカーの幼なじみに結局は心を寄せるとか、結構無茶かつ少女マンガちっくな設定が納得いかない。

そして一番この映画がイケてないのは、あまりにウディ・アレン風であること。多分、個人的に付き合いの深いウディ・アレンが製作にも深く関わりながら、一役者としての立場に引いているという事情なのだろうが、それにしてもちょっとね、というくらいウディ・アレン調(ウディ・アレンは大好きだけれど、それなら彼の作品を観ればいいという感じ)。

唯一よかったのはシャロン・ストーンの金持ち有閑マダム振り。迫力ある姐御の演技でした。

平日昼間でもかなりの入りだったので、受けているようだが、いかにも映画好きですというじいさん、ばあさんが多い観客層。私の苦手な『ニュー・シネマ・パラダイス』とか『ライフ・イズ・ビューティフル』とか『海の上のピアニスト』とか、最近なら『最強のふたり』とか『25年目の四重奏』とか『鑑定士と顔のない依頼人』とかが好きな人にはお勧めの映画。

(字幕に誤訳(超訳?)散見。"That's one way to put it."の"one way"を「一方通行」と訳すなど)

★★★★ (4/10)

『ジゴロ・イン・ニューヨーク』予告編
AD