物理学?それとも哲学? | texas-no-kumagusuのブログ

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トミオ・ペトロスキー(Tomio Petrosky、日本名:山越富夫)のブログです。


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10月7日に帰米して、その後めちゃくちゃ忙しい時を過ごしました。私と共同研究をやっておられる日本の先生方の文科省に提出する科学研究費申請の作文の添削、さらに、珍しく哲学的な投稿論文の査読をドイツの科学専門雑誌から頼まれました。

私も散々他の科学者の投稿論文の査読をやって来ましたが、物理で哲学を語る論文は滅多にありません。論文のほとんどは、あれを見つけた、こんな面白い現象があると言う論文です。でも、西洋では理学博士のことをPh.D.(Doctor of Pilosophy)すなわち哲学博士って言うんだから、哲学的論文があっても良いはずだ。こんな機会は滅多にないと言うんで、白羽の矢が当たったつもりになって、気を入れて査読しました。査読の投稿期限が切れ、催促を受け、投稿期限を二度も延長してもらって、最終期限ギリギリで、 昨日やっとその査読意見を編集者に投稿しました。 
 
  物理学の最近の論文では、滅多に哲学が語られません。物理学は、数学のように言葉の定義の間の無矛盾性、すなわち分析的真偽を論じる学問ではなく、実験や観測に基づいて真偽を確認する、すなわち総合的真偽を論じる学問です。物理学者が哲学を論じるとき、しばしばこの違いを明確に意識せず、分析的な真偽の論述になってしまうきらいがあります。この論文もそんな傾向がありましたが、こんな論文も皆の刺激になる切っ掛けになるであろうとの希望的観測から、著者の提示に散々文句を付けながらも、こちらの疑問に答えてくれるとの条件で、掲載に対して肯定的な査読結果を編集者に送りました。出版に至るまでのこれからの著者とのやり取りが楽しみです。

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