20240606  俳句の感情表現 | 阿岸鉄三“わたしの視点・視座・視野”

20240606  俳句の感情表現

20240606  俳句の感情表現

朝日新聞の日曜版に朝日俳壇歌壇という欄がある。その中に俳句時評という囲い込みがある。面白いことが書いてあった。芭蕉の句を引き合いに出し、近現代の俳句においては感情表現は否定的にみられやすいと言うのである。私の作句は初心者にも及ばないものであるが、それでも感情の直接的表現は避けるようにと心得ている。私はおそらく世間では科学者と呼ばれる分類に入る人間であるが物事を全て客観的に見たり表現したりする習癖があると自分でも思う。例えば孫が可愛いとか、兄弟の仲がいいとか、個人的な昔の思い出は避けるようにして、客観的普遍的に誰にも理解できるようにと心がけている。俳句時評の中では芭蕉の句について例えば感情表現について、さまざまなこと思い出す桜さくらかな、おもしろうてやがて悲しき鵜舟かなをあげている。初心者が悲しく〇〇かなと読んだら多くの俳人は感情をそのまま述べず具体的な物で表現すべき指導する違いないという。あらわな感情表現は着想か陳腐化しやすいからだ。即物的な表現を志向するのが近現代の通念だという。見送りのうしろや寂し秋の風は見送られる側の寂しさを察することで見送る側の寂しさが深まると言う。見送りの後ろ姿や秋の風として季語の秋風に情けを託すのが近現代風だがそれは味気ない単純な句になるという。つまり直接的な表現を避けながらも読む人に何らかの感興を引き起こさせるが上手な俳句ということらしい。つまり花鳥諷詠であってもただ美しいとかというだけではなくてそこからさらに読む人に感興を起こさせるべきであろうあるということなのだろうと理解している。

Original description 20240528