小説「すれ違うふたり」第9話。 | てつさんのアスペルガー症候群奮闘記

てつさんのアスペルガー症候群奮闘記

私は35歳でアスペルガー症候群と診断されました。今までの生き難さがなぜなのか少しずつですが見えてきました。週1回、子の刻に更新されます。

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年が明けた。1月17日には神戸で大地震が起きた。実家とは何とか連絡が取れて大きな被害はないとのことで安心していたが気になるので一度帰省することにした。勉強を続けなければいけないので、電車が止まっていないルートを使って京都に戻った。

 

 春休みになると公務員試験の勉強とアルバイトだけになるので、集中して勉強できる。アルバイトのない日は自習室を1日借り切って勉強していたほか、アルバイトのある日も空き時間は自習室を使って勉強していた。雨が降っていたり体調がすぐれないときなど外に出られないときは自分の部屋で勉強していた。

 

 4月になると学校が始まるが、卒業に必要な単位はほとんど取っていたマナブくんはゼミといくつかの授業を取ればいいだけだった。

この頃からアルバイトもしばらく休止することにして公務員試験の勉強1本で進められるようになった。

 

その間生活が苦しくなるので親が少し仕送り額を増やしてくれた。この頃に第1志望の兵庫県庁の採用人数を100人から70人に抑制すると発表された。マナブくんは厳しくなりそうだが頑張って勉強するしかないと考えた。

 

 6月になった。公務員の1次試験受験チャンスは3回しかない。マナブくんは第2週が労働基準監督官、第3週が国家Ⅱ種、第4週が兵庫県庁の試験になっていた。労働基準監督官は歯が立たなかったが、国家Ⅱ種と兵庫県庁は手応えがあった。

 

 7月になると結果が発表される。勉強の甲斐あってマナブくんは第1志望の兵庫県庁上級試験の1次試験に合格を果たした。国家Ⅱ種は2点及ばなかった。8月に兵庫県庁上級試験の2次試験が行われることになった。このことを親に電話すると泣いて喜んでくれた。シンジくんとコウイチくんの2人にもこの話をするとやはり喜んでくれた。ユキコさんやノリコさんはどうだったのかなと言うことがマナブくんの脳裏をかすめたが、わざわざ聞くわけにもいかない。

 

 8月になった。いよいよ兵庫県庁上級試験の2次試験の日がやってきた。約140人来ているので2次試験で半分ほど落とすつもりらしい。面接と集団討論、適性検査などが行われる。

 

就職活動をしていないマナブくんは面接の受け方が分からなかった。なぜ震災ボランティアをしなかったのかとか聞かれても受験勉強しながらできないと言いたくても言えないので募金活動などの間接的なボランティアはしていると答えた。あとは大学生時代にしていた活動について一通り聞かれたあとに、

 

「あなたは公務員に何が求められていると考えますか」

 

ときた。マナブくんは公務員になりたいとは思っていたが、公務員になれたら何をやりたいという明確なビジョンを持っていなかったので明確な答えが出せなかった。集団討論で司会を買って出るなどして挽回を図るが厳しいと思った。結果は月末頃に発表されて残念ながら不合格になってしまった。

                                      (つづく)