小説「すれ違うふたり」第3話。 | てつさんのアスペルガー症候群奮闘記

てつさんのアスペルガー症候群奮闘記

私は35歳でアスペルガー症候群と診断されました。今までの生き難さがなぜなのか少しずつですが見えてきました。週1回、子の刻に更新されます。


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7月になった。マナブくんは失恋のショックからは立ち直りつつあったが、様子をいつもそばで見ているシンジくんとコウイチくんの2人はそんなマナブくんのことを気にかけていた。

 

ユキコさんがマナブくんのことを気になっていることを知った2人はマナブくんとユキコさんを何とかしようと考えていて、シンジくんはゼミの授業のあとでユキコさんをつかまえて話を持ちかけた。

 

「今度の土曜日空いてる?飲み会やるけど来ない?」

 

「空いてはいるけど誰が来るの?」

 

「俺とコウイチ。あともう1人呼ぶけど」

 

「ゼミコンパやったばかりじゃない。あと1人って誰よ?」

 

ユキコさんは参加を渋っていた。そこでシンジくんが、

 

「いや、マナブ呼ぼうと思っているんだけど」

 

ユキコさんはマナブくんとの接点が切れて会えない状態になっていたのでマナブくんとは会いたいと思っていたようで、ノリコさんと一緒なら参加すると言う話になった。ここまで話が進んだところでシンジくんはマナブくんに、

 

「今週の土曜日空けておいてくれ。会ってほしい人がいるから」

 

と言う。この含みを持たせる言い回しにマナブくんも、

 

「空いてはいるけど会ってほしい人って誰?」

 

と尋ねたが会ってみたら分かるとのことでこの時は教えてくれなかった。これでシンジくんの描いていたシナリオ通り話は進み男子3人女子2人の5人で宴会が催されることになった。ところが当のマナブくんはまあまた男同士で自分の失恋のショックを慰めてくれるのかなという程度にしか考えていなかった。

 

 この土曜日がやってきた。何も知らないマナブくんは普段着で約束通り繁華街近くの待ち合わせ場所に行くとシンジくんとコウイチくんの2人の他に女性が2人待っていたので驚いた。

 

ノリコさんのことはすぐに分かったが、ユキコさんのことはすぐには分からなかった。そういえば2年生の時にゼミで一緒だったかなと顔と名前が一致する程度でほとんど会話もしたことのない関係だった。そのような中でシンジくんが、

 

「マナブ、2人とも知っているよね」

 

と聞くのでマナブくんはうなずく。シンジくんとコウイチくんの2人は女子2人とマナブくんがお互い緊張しているのを見てそんな3人をときほぐそうとする。歩きながら話をしていると、大学3年生にもなると将来の進路のことについても話題に上がる。

 

この時は就職難で就職活動も大変になりそうな情勢だった。そんな中で資格試験の専門学校でアルバイトをしているマナブくんは公務員試験に向けて勉強をすることに決めていることを話していると、ユキコさんとノリコさんも同じことを考えているようで話は偶然ながら合った。

 

繁華街に着いた5人は平安遷都(せんと)1200年(平安遷都は794年)の大規模なイベントをやっていたので一通り回ることになった。このイベントについてはあまり記憶に残っていないが、八ツ橋(ニッキ味せんべい)のつかみ取りが100円でできるコーナーがあってマナブくんはやることにした。手の大きいマナブくんはたくさん取れる。これを袋2枚もらってユキコさんとノリコさんにあげることにした。

 

                                       (つづく)