大当たり百発百中 | お宝映画・番組私的見聞録

大当たり百発百中

また、ガラリと話題は変わり日活に戻るのだが、今回は「大当り百発百中」(61年)である。
主演は小沢昭一である。小沢が主演の映画なんてあるんだと思って調べたら十数本もあるようだ。俳優以外の活動でよく見かけた気がするし、テレビドラマではほぼ見かけたことがないので主演俳優のイメージが個人的には全くなかったのである。
彼が扮する及川太郎はレコード会社の文芸部員。要するに作詞担当なのだが、そちらの才能は今ひとつ。しかし、競馬の予想に関しては百発百中という特技を持っている。その特技のせいで、愚連隊のボスである白井加藤武)に目をつけられ、監禁されたりしてしまうというのが大雑把な筋である。
当時の中央競馬の券種は単勝、複勝、枠連が主流で枠は6枠までしかなかった(8枠制は63年から)。現在よりも当てやすいことは確かだろうが、百発百中はムリだろう。当てるだけなら全部買えばいいというツッコミは現実的ではない。
小沢昭一だが、旧制麻布中学の出身で同級生にフランキー堺、仲谷昇、そして前述の加藤武らがいた。中でも加藤とはこの後、早稲田大学にも共に進学し、共に演劇活動をしていくことになる。29年生まれなので、当時31歳ということになるが、小沢加藤も40代という感じに見える。まあ当時の成人は総じて老けて見えるのだけれども。
彼の日活初出演は川島雄三監督の「愛のお荷物」(55年)。そして川島作品を中心に出演するようになり、やがて年六本の出演契約を日活と結んだという。しかし、年六本どころではなく二十本に及んだこともあったという。今回の「大当り百発百中」では主題歌を歌っているのだが、これは小沢本人の希望だという。裕次郎や旭のように自分も歌ってみたかったからだそうだ。
小沢の新婚の奥さん役が松原智恵子。実は最初見た時、松原智恵子だとわからなかった。彼女はデビューしてまだ三カ月くらいで、当時16歳の高校生でもあった。しかし、そんなに幼くは見えないし、20代の若手女優かと勘違いしたのである。そういえば、クレジットの二番手は(新人)付の彼女だったので、そこで初めて気づいたくらいだ。まあ彼女もいきなり若奥さんの役をやるとは思ってなかったのではないだろうか。ちなみに彼女の両親役が武智豊子とジョージ・ルイカーなので、ハーフということになるのだろうか。
この61年デビューで、その年から十数本の作品に出演。デビュー作こそ端役だったようだが、すぐにメインヒロインとなり、相手役も川地民夫だったり長門裕之だったり宍戸錠だったりと当初特定のコンビはなかった。誰が合うか適正を見極めていたのかもしれない。後に小林旭や渡哲也との共演が多くなるけれども。
名古屋出身の彼女は高校も東京に転校しようとしたが、「芸能人はダメ」とか中々受け入れてくれるところがなかったという。そこを浅丘ルリ子が「菊華高校(現・杉並学院)なら」と紹介してくれたそうである。浅丘本人は中退しているのだが、松原は5年かけて卒業したという。
他の出演者だが、田代みどり、由利徹、南利明、高原駿雄、神戸瓢介、千代侑子などである。