「ソーシャルメディアの根本的なインパクトは、何よりも学びにある」 | Work , Journey & Beautiful

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オルタナティブな学びを探求する

僕達人間は本来社交的な存在です。はるかな祖先の時代から自然に会話し、お互いの知識や知恵を共有し、コミュニケーションをとってきました。これは人類の生存のための仕組みというよりもごくごく自然な営みといっていいでしょう。そして重要なことに、僕等の会話し共有する能力は絶えず発達し続けているのです。

「ソーシャルラーニング」は世界的に最も影響力のある
人材開発カンファレンスASTDの社長であるトニー・ビンガムと調査会社大手のアルティメーター・グループのパートナーであるマーシャ・コナーが書き下ろした、この時代の最新の学習方法について紹介する良著です。


「ソーシャルラーニング」入門 ソーシャルメディアがもたらす人と組織の知識革命

前述のとおり今、僕等の会話し、情報を共有する能力は飛躍的に高まっています。その最たる技術がFacebookやtwitterをはじめとしたソーシャル・メディアであることは言うまでもありません。本書では様々な組織がソーシャルメディアを活用し、人と組織の知識革命を引き起こしているか?を紹介して、とても読み応えがあります。例えばCIAが新しい脅威に対抗するためにどうやって集合知を育てているか?5万人を超える医療専門家が参加するメイヨー・クリニックがいかに利用者に対して素晴らしい経験を与えているか?IBMが退職間近のノウハウをいかに社内に蓄積させているか?など、事例と示唆に富んでいます。



ソーシャルラーニングは失敗を恐れない風土を作り、かつてない答えを得ることにつながる

最近とみに感じるのはソーシャルメディアは自分が参加しようとすまいと、既に始まってしまっていて、拡大し続けているということです。こうなると僕等が選びうる選択肢は2つしかなくて、「妨害者となるか?」それとも「流れにのるか?」のいずれかだということです。

昔のように仕事にしても社会にしても、例えば会社/日本/職場など、一つのシステム構造の中で物事を考えていれば完結された環境に身をおいているのであれば何もこれらソーシャルメディアを活用し、学ぶということは必要とされなかったかもしれません。何かしら例えば「プロジェクトの進め方」や「マネジメントの原理原則」などの体系だった(それはとても固定的な)知識を学習することが最適な学習の仕方だったかもしれません。

しかし現代はあらゆる環境が複雑化しています。 僕等は研修を受けたり本を読んだときに、「ここで学んだことはあくまで一般論であり、これらを参考にしながら自分達の仕事に上手く置き換えなければならない」というメッセージを受け取っています。しかし、僕等が直面するビジネスの現場は常に変化し続け、様々なステークホルダーが現れ、どんどん複雑な構造になっています。よほど優秀な人でなければ体系的で理論だった知識を活かすことはできなくなってきています。

それがソーシャルラーニングによって僕等一人ひとりが情報の「送受信者」から「学びの担い手」となった瞬間、大きな変化が生まれます。誰かが他者のために積極的に質問し、自分の担当する仕事やプロジェクトのプロセスを周囲に共有しはじめると、いつしか周囲は誰も失敗することを恐れない環境が作り、本当に一番重大かつ重要なことについて、同じように質問し始めるはずです。そしてその結果としてお互いに研修を受けたり本を読んだりしていたのでは決して得ることができなかった答えを手にすることができるようになります。


より賢い学習者を目指して

最も重要なことは本書で様々な事例をもって紹介されていることは「ソーシャルメディアこそが最高の学習方法だ」というわけではない、ということです。あくまで学びを最優先させることが重要dであり、そのために現状はソーシャルメディアを使うとよい、ということが本書の主張だ。目指すところは「優れた人やものが、さらに優れたものになる」です。より良い競争相手になることが目的なのではなく、より強力な貢献者になり、より賢い学習者になる、ということが主眼だということです。

僕自身仕事において試験的に様々な取り組みをFacebookやtwitterで始めています。ノウハウや知識の共有プラットフォームとして、
社内外の知人・友人・ビジネスパートナーを入り交った 新たな思考法の研究の場などを様々な機能を活用しながらはじめていますが、思うにソーシャルメディアのひとつの利点は小さく始めることに適しているということです。そして何より僕等が参考にすべき事例にいくらでもアクセスすることができます。まずはできるところからあなたも身近なところからソーシャルラーニングをはじめてみてはいかがでしょうか?


「ソーシャルラーニング」入門 ソーシャルメディアがもたらす人と組織の知識革命