「マニュアル通りの対応では顧客満足も感動も生めない」という勘違い。 | Work , Journey & Beautiful

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ビジネスには常に「相手」がつきものであり、そうした相手の満足というのは相手がもっている事前期待(こういうことをしてほしいという思い)を提供した価値が上回っているときに生まれる。これはCS(顧客満足)を考える上で極めて基本的な考え方だ。


さて、こういうCSに関する話をしていると、「マニュアル通りの対応では顧客満足も感動も生めない」と言う人がいるが、こういう人は基本的にビジネスというものを知らないか理解していないと言っていい。


勿論、マニュアルを越えた対応が相手の感動を生み出すことはある。ただ、ビジネスというのは、同じことを何千回も、何万回も繰り返せることを言う。ビジネスというのは常に同じように判断し、行動できるように徹底することが重要なのだ。


つまりある人がたまたま気を利かせて行う、ではビジネスとして成り立たない。ディズニーランドもセブンイレブンもシルク・ドゥ・ソレイユも、一人一人のアドリブによる行動ができるから顧客満足や感動が生まれ、組織として成長しているわけではない。全て、マニュアルが徹底されているからこそ実現されているのだ。


マニュアル通りの対応では感動は生めない、という多くの人が勘違いしているのは、マニュアルは行動を規定していると思っているということ。確かに、マニュアルには物事の手順が記されている。しかし、マニュアルを徹底するというのは「何故、そうするのか?」という価値判断基準を徹底するということ。価値判断基準が徹底できていてはじめて、自立的に自分で考え行動できるようになる。


そうした自立的に考え行動することができてはじめて、相手に合わせた臨機応変な対応ができるようになる。


繰り返すが、それが「一人だけ」でも駄目だし、「たまたま」でも駄目だ。「みんなが常に」できることが求められる。それがビジネスであり、徹底するということだ。


もしそれぞれが自分だけの判断基準で判断し行動しているのであれば、それはガバナンスがきいていないだけである。好き勝手やっているだけである。そしてそういった状態では中長期的に顧客満足を得続けることはまずあり得ない。


ではどうすれば価値判断基準が徹底できるかというと、それは「型」を徹底することだ。決して価値判断基準や物事の意味を説明する(言葉で伝える)ことではない。


そもそも価値判断基準というものは頭で理解していても意味はなくて、即座に行動できるぐらいまで身体に徹底されていなくてはならない。剣道でも、茶道でも、華道でも、道とつくものは全て基本的な型から入る。型を徹底するためには、繰り返し修練が必要になる。その繰り返しの過程で「なぜこういうときはこうするのか?」という価値判断基準が言葉の上ではなく、体に定着するようになる。そうしてはじめて臨機応変な対応ができるようになるのである。(ここらへんはここら辺は守破離の考えがまさに合致する。)


結局のところ、「マニュアルどおりの対応」すらできない人は「マニュアルを越えた対応」などできはしないんだ。



■ベンチャー企業の人材育成こそ、「型」徹底する必要がある。

勿論仕事の全てが定型的なものではない。特に僕が今いるようなベンチャー企業やソリューション提供型の企業とかだと、定型的な仕事というのは少なく、最初からその場その場で「何をすべきか?」「どうすべきか?」を考えて、生み出さなくてはならない仕事の方が多い。つまるところ求められるのは自分で考え、判断し、行動できる力だ。


でも結局のところ、型通りの仕事ができない人は型破りな仕事もできるわけがない。だからこそ、僕らのようなベンチャー企業こそ中長期的に人材を育成するのであれば、型通りの仕事を集約し若手に任せ、徹底させることが肝要だ。






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