『相場は自分の都合では動かない』

当たり前のことだ。
でも毎日のようにトレードしているとつい忘れてしまいがちなこと。

 

『損を取り返したい』
『結果を出したい』
『もっと稼ぎたい』

 

これらは全て自分の都合に過ぎない。

改めて…

『相場は自分の都合では動かない』んだ。

 

でもトレードしているのが人間である以上、そこには感情がある。

トレードしているのがAIやらアルゴやらのシステム的なものならそれは排除できるかもしれないけれど…。

 

気負い、焦り、不安、欲、願望、慢心…様々な感情を抱きながら人は市場と向き合う。
だからこそ『自分自身を客観視する』ことがとても大切になる。

特にトレーディングの期間が短ければ短いほど、自分の状態を客観視し、メンタルコントロールをしっかりと保たなければリズムを崩してガタガタになりがちだ。

もっと長い期間のトレーディングであれば、冷静さを取り戻したり、分析し直す時間も持てる。それを実現するためにはまた別の要素が必要にはなってくるけれど。

 

自分もまだ若手だった頃に忘れられない失敗をしたことがある。

前にもこのブログで書いたことがあるフセイン捕縛の報道が出たときの損失。

その背景には取り返さなければという『焦り』があり、その『焦り』から市場の水準を客観視出来ずに色眼鏡で見てしまった上に、リスクコントロールを見失い、過剰なリスクを取ってしまったという自分自身の問題があった。そしてそこに陥るきっかけはその直前まで好調であったことから生じた『慢心』があった。収益がどんどん伸びていて「負ける気がしない」という慢心からリスクの取り方が雑になった。本来ならもう少し見極めてから入るところを安易に入り、安易だからこそ我慢が効かなくなったりもした。そしてつまらないところで損失を出し、それをまた取り返そうとバタバタし始める。そしてそれが積み重なっていつの間にか『焦り』につながり、大きな損失につながってしまった。

また別に、自分が所属する会社がより大きな会社(十倍ぐらいだったかな?)に吸収合併されることになった。ただディーリングにおいては自分が所属する会社の収益が圧倒的(9割以上)であり、さらに自分はそのチームの中では最年少ながらトップディーラーと言われていた。当然、吸収合併した側の方々は面白くない。「針のむしろ」ともいうべき雰囲気だった。多くの人があの年齢でそんな収入もらってるなんて生意気だとか、失敗すればいいのにと望んでいるような気がしていた。『結果を出さなければ』という『プレッシャー』、『気負い』」が極端に強くなっていた。そのせいもあったのかもしれないが、合併初日に40度近い高熱を出して休まざるをえなくなった。より『プレッシャー』や『気負い』は強くなる。翌日、38度台の熱があるにも関わらず出社し、相場に飛び込んでいった。結果は…散々だった。忘れもしない一日で一千万の損失。相場が終わったとき、自分は机に伏せるようにしてしばらく動けなかった。

どちらも共通していえることは『自分の都合』で相場と向き合っていたということ。

本当に見なければならなかったのは自分の都合ではなく相場だ。

そのときの相場にそういった収益機会があったのかどうか?
明らかにそんな収益機会がないにも関わらず、自分の気持ちだけでトレードし、空回りしていた。

前者のときは自分自身で取引を止め、それまでの2ヶ月分ぐらいの日々のトレードを全て見つめなおしてその要因と向き合い立ち直れた。

後者のときは吸収合併した側の顧問の方がフラッと自分のところに立ち寄って下さり、「やっちまったな。まぁでもディーラーなんてそんなもんだ。お前の実力は知ってるから、焦らずにやれや。」と笑顔で声をかけてくれた。その言葉に救われたんだと思う。


『相場を見る目』と同じぐらい『自分を見る目』は大切だ。
自分がよく『コントロールが大事』という中にはメンタルコントロールなどのセルフコントロールが含まれる。
自分自身を客観視し、どんなに心が熱くなっても頭は冷静に。

フラットな状態で市場と向き合う。

それが出来て初めて実力は発揮できる。

 

『稼ぎたい』『稼がなきゃ』はあくまで自分の都合。

『稼げる相場なのか』どうかをしっかりと見極めていくこと。

 

自分はかなり意思は強い方だと思うし、自己抑制もかなり出来るようになっている方だと思う。

それでも足りなくて、テクニカルなどのツールを使ったり、様々なルールを作ったり、色んな対応方法を考えていた。

そのアプローチは人それぞれでいい。

でも『相場は自分の都合では動かない』ということを忘れてはいけない。
自分たちは相場の中で生かされているにすぎないのだから。

AD