皆さま、こんばんは。
今宵は、タイス!
マスネが作曲したオペラです。
誰もが彼女の虜になってしまう、
そんな高級娼婦であるタイス。
強気に見える彼女も、一人の女性。
日々の生活に疲れ、
老いを恐れ、
鏡に向かい『永遠の美』を神に願うのです。
この生活を続けるか?
改心するか?
タイスは一人で悩み、泣き崩れます。
そして、この『タイスの瞑想曲』が、
そっと流れるのです。
この曲の中間部は、
タイスの苦悩、
心の迷い、
心の叫びを表しています。
小品として扱われるこの曲ですが、
とても奥が深く、軽い気持ちで弾くことは決してできません。
毎回この曲を演奏するときは、もの凄いエネルギーを使うのです。
あくまで『高級』娼婦。
官能的な世界を『品良く』表現する演奏家のセンスも問われます。
一人の女性の濃厚なドラマが、この5分間に閉じ込められているのです。
僕は個人的に、
ミッシャ・エルマンと、
アンネ=ゾフィー・ムターが演奏するタイスの瞑想曲が大好きです。
特にムターのタイスは絶品で、何度聴いても飽きることはありません。
ツィゴイネルワイゼンやチャルダッシュと並び、僕のコンサートで頻繁に取り上げる大切なレパートリーの一曲です。
taiyo tubaki