朝、キャメロンとともにインディアナ民主党ヘッドクオーターへ。車の中でいろいろ話す。CNNによると、オバマは選挙戦を一時中断して、危篤状態のおばあさんに会いにハワイに行くそうだね。そうなんですか。キャメロンは知らなかったようだ。
道中、シカゴからボランティアに来ているマートルおばちゃんをピックアップ。サポーターハウジングに泊まっているのだが、とてもいい人らしく、ミトの話をしたら彼も連れてくればよかったのにって言ってたわよ。陽気な人で、口を開けば歌をうたうようにたえずおしゃべりしている。
木曜日にオバマがまた来ることになったわよ。えっ、本当?黒人コミュニティから流れてきた情報だから間違いないわよ。だけどオバマはハワイに行くって。インディアナから飛び立つそうよ。キャメロンも知らないようだし、本当なのかな。
マートルおばちゃんは名簿入力のボランティアをしている。今日は300人分やるわと張りきっている。なんでもヒラリー選対から今ごろになって支援者名簿が段ボール2箱分も届いたんだそうだ。それをせっせと入力している。今ごろ名簿を提供されるなんて、やっぱりヒラリー選対との関係はうまくいっていないのかもしれない。
きょう同行する予定のダニエル氏がヘッドクオーターに迎えにきてくれる。車で出発。ダニエル氏は連邦議会の情報紙の仕事を捨てて、オバマ選対にボランティアとして身を投じたのだそうだ。すごい決断だ。大統領選が終わったらワシントンで働くか何かするの。ホワイトハウスで職を得たいと思ってます。えっ、本気?選挙運動員を一所懸命やったことが評価になるんですよ。忠誠心を見るんです。なるほど。たしかに日本の選挙でも秘書に雇ってもらうために選挙を手伝う人っているよな。
ダニエル氏、政治業界にいただけあって、日本の政治のことをいろいろ聞いてくる。話がはずんでよかった。2004年の大統領選はハワード・ディーンの予備選を少し手伝ったけどケリーに負けてしまった。ケリーは手伝わなかった。興味わかなかったから。ブッシュが嫌だからケリーを応援するという人はいたけど、ケリーが本当に好きという人はほとんどいなかったと思います。あまりいい候補じゃなかったですね。オバマは多くの人が熱心に応援している。世論調査を見ると面白くて、オバマはどのくらい支持しているかと聞かれると熱心に支持していると答える人が60%にのぼるが、マケインでは30%くらいしかいない。マケイン陣営にはこんな風にボランティアで熱心に支援している人は少ないだろうと思いますよ。
インディアナは面白いですよ。逆転の可能性が十分ある。でもオハイオとかフロリダとかに比べると注目度が低いよね。どうしてかな。それらの州は2004年も接戦でしたからね。どちらに転ぶかが勝負を分けるので注目されるんです。それに比べてインディアナはブッシュ59%、ケリー41%でしたからね。ここで勝つようならオバマの勝利は間違いない。木曜日にオバマがまたインディアナに来るというのは聞きましたか?いまや彼は本気でここを取りに来ているんです。どうやらオバマが木曜日に来るというのは本当のようだ。
予定が変わったということで、同時に行われる州知事選の民主党候補ジル・ロング・トンプソン女史の選対本部に連れて行かれる。そこでダニエル氏とはお別れ。きょうは一日トンプソン選対で。まずチラシを切る仕事を与えられる。隣ではボランティアのおばあちゃんが電話かけをしている。「ジルを支持してくれますか。期日前投票に行く気はありませんか」やってることはどこも同じだ。
選対本部でボランティアしているマット君は20歳。大学生だが10ヶ月間も学校を休んでボランティア行脚をしているという。地元のオハイオと、ペンシルベニア、テネシー、ケンタッキーを回って、先週からインディアナに来ている。昼飯を一緒にピザを食べた。将来は地元のオハイオ州デイトンで市議会議員になりたいという。自分の街を環境先進都市にしたいのだそうだ。選挙に勝つには何が重要なの?やはり知名度ですね。政党の公認を得るのは難しくないの?適切な人のケツをなめるかどうかですね。ははは。マット君も選挙ボランティアをすることが政界とコネを作るのに有益と考えているようだった。
外に出る。インディアナポリスが含まれるマリオン郡の役所で、期日前投票に来た有権者にチラシを配る。近くで美容院をやっているザック氏と美容院で合流。ザック氏、熱心な民主党支持者で、町会役員みたいなこともやっているようで、近所では顔のようだった。郡役所のあるビルの中でやりはじめるが、たちまち止められる。「館内ではできません」「どうしてだ。去年はできたよ。投票箱から50フィート離れればいいって法律には書いてあるじゃないか」ザック氏が粘るが、館外に出て、郡役所ビルの玄関の前で配ることに。
「投票に来たの?いいものがあるよ」ザックが呼びかけながらオバマのチラシを渡し、私がジルのを渡す。玄関前は雨除けの屋根があって、日陰になっているので寒い。やっているとまた郡の保安官が出てくる。玄関前ではできません。どうしてだ、50フィートどころか200フィートは離れてるぞ。法律には違反してない。郡の決まりでそうなっています。そんなのいつ決めたんだ、おかしいじゃないか。有権者に接触する権利を奪うのか。そうではありません。そのように決まっているのでお伝えしているのです。とにかく雨除けの外に出てください。
てなわけで、どんどん外に追いやられる。ザック氏は怒り心頭。携帯で弁護士に問い合わせたり、郡の選管に電話で文句を言ったりしている。日本でもこんなことあるよな~。役人の対応のしかたなんてそっくりだ。選対本部に戻って今日の話をしたら、いま郡のトップが共和党だからね、彼らは私たちを恐れているのよ。長く手中にしてきた政権を奪われそうだから。オバマだけでなく、知事候補のジル女史も共和党現職知事のミッチ・ダニエルズ氏を激しく追い上げている。
ジル選対に戻ると、オバマが木曜日に来るというのは確定した情報になっていた。電話かけの人たちが電話の向こうの人々にその事実を伝えている。オバマに直接会える機会が、こんなに早く来るなんて思わなかった。インディアナを選んだのは正解だったかもしれない。ワクワクしてきた。



