こんばんは。流れ星

 


早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第22回試験・一般知識

(受験時代のノートより)

(a)
まず、北半球における高気圧に伴う傾度風平衡について、簡単な図にしますと受験時代のノートの右上の図のようになります。空気塊が半径rの円周上を定常的に運動しているものとしますと、内側にはコリオリ力fV、外側には気圧傾度力(水平気圧傾度力)Pnと遠心力が釣り合っていることを表しています。すなわち、

Pn + V2/r = fV…①式
と表されます。

したがって、下線部の「水平気圧傾度力」は正しいということになります。

(b)
本文の第2段落において、「|Pn|≦ f2r/4を満たさないと実数としてのVは求まらない。」とはどういうことでしょうか。考えてみることにします。

風速Vを求めるため、先ほどの①式のfV(コリオリ力)を左辺に移行して整理しますと、

V2/r - fV + Pn = 0…②式

というVについての2次方程式ができます。ここで、Vを求めるには、高校の数学で習う2次方程式の「解の公式」を使う必要が出てきます。

一般的な2次方程式、ax2 + bx + c = 0 の解の公式は、
x = - b ± √(b2 -4ac) / 2a
で表されます。

②式について、この解の公式に代入しますと、

V = - (- f ) ± √{ (- f )2 - 4× 1/r × Pn } / 2 × 1/r

右辺に1/2をかけて整理します。
= 1/2 × f ± √( f2 - 4Pn / r ) / (1/r)
右辺の分母1/rを打ち消して、本文の条件を導き出すため、r2を各項を掛けて整理します。
= 1/2 × fr ± √( f2r2 - 4Pnr2/r )
= 1/2 × fr ± √( f2r2 - 4Pnr )…③式
と求められます。

ここで、本文にある条件|Pn|≦ f2r/4について、③式の平方根の中の数値に着目して考えなければならないことになります。

平方根を外すとき、2乗して負の数値になるような数値は実際に存在するのかというと、実際には存在しないことに注意する必要があります。そうなりますと、この平方根の中の数値は0以上の値にならなければならないことになります。これについて不等式を作りますと、


f2r2 - 4Pnr ≧ 0…④式

となります。④式に左辺f2r2を右辺に移項して整理しますと、


-4Pnr ≧ -f2r2


両辺を-4rで割ります。ここで不等式では負の数で割ると符号が逆になることに注意して、気圧傾度力Pnについての不等式にしますと、本文の条件、


Pn ≦ f2r / 4


が導き出されます。

これは、高気圧に伴う傾度風において、気圧傾度力Pnはf2r/4以下でなければならない。すなわち、気圧傾度力が上限の数値、f2r/4よりも大きい高気圧は定常的に存在できないことを意味しています。

したがって、下線部の「大きい」は正しいということになります。

(c)
緯度が同じ場合において、高気圧内で地衡風平衡と傾度風平衡を比較して同じ気圧傾度力に対応する風速の大きさはどちらが大きいでしょう。という問いです。
コリオリ力はコリオリパラメータ×風速すなわちfVで表されます。そこで、地衡風平衡の式、傾度風平衡の式のそれぞれをコリオリ力についての式に整理しますと、


(地衡風)
fV = Pn


(傾度風)
fV = Pn + V2 / r


となります。


両者の気圧傾度力が同じならば、高気圧に伴う傾度風平衡の場合、気圧傾度力に遠心力が加わっています。さらに緯度が同じであるという条件もありますので、コリオリパラメータfも同じです。

したがって、風速Vの大きさは傾度風の方が地衡風より大きいことがわかりますので、下線部の「小さい」は誤りということになります。

よって、正解は④ということになります。

では。バイバイ