音声認識を翻訳ツールにする...JTF基調講演に出席して | 翻訳横丁の裏路地
2011-06-03 14:25:53

音声認識を翻訳ツールにする...JTF基調講演に出席して

テーマ:翻訳
昨日、日本翻訳連盟の平成23年度通常総会の中で、JTF会員でなくとも出席できる「基調講演」が行われ、参加してきた。

今回、Richard Walker 氏による「日英翻訳:音声認識技術が翻訳の生産性を変える」をテーマとした講演と知り、即、申し込みをした。実はかなり昔に、和訳時の文字入力を音声認識技術にて代行させられないかと試した事があったので、とても興味深いテーマだったからだ。

講演開始直後、Walker 氏がPCに接続されたマイクに向かって、普通に人と会話するような速さで英語を発話されていくと、スクリーンに映し出されたプロジェクター画面に音声認識された英文がどんどんと表示されて行く。

このデモンストレーションで見せつけられたその認識率の高さには本当に驚いた。98~99%の正確さだそうだ。もう、この時点で一昔前の「音声認識は使えない」と言う認識が完全に覆される。彼の使うソフトウェアは DRAGON というそうだが、実は Windows Vista/7 には音声認識ソフトが標準で入っているそうだ。(私はまだ確認してない)

当然、ソフトウェアの設定などのチューニングが必要になるのだろうが、それでも、この技術を使った翻訳の用語変換や訳語入力、PC作業のオートメーション化による作業効率の向上は、30~40%、若しくはそれ以上だそうだ。

余り細かくリポートしても仕方がないので、私が考えた事だけを以下にまとめておく。

・音声を利用するので静かな作業環境が当然必要となる。社内翻訳者のようにオフィス環境で作業するケースには向かない。
・発音が認識率に大きく影響するそうなので、余程ネイティヴな英語が話せる人でない限り、英文入力には使えないだろう。つまり、日本語入力に限定して利用すると言うスタンスが正しいのだと思う。
・一昔前の音声認識は使えないと言う認識は改めるべし
・ただ、チューニングはそれなりの労力を要しそうである。
・スタートレックのコンピュータの如く音声でPCを操る姿はカッコいい(笑)

私は取り敢えず、翻訳者さん達にこういう技術がある事を紹介するつもりです。

最後に、講演最後に Walker氏が来場されているであろう彼のクライアントに対してジョーク交じりに、「このような技術を使って大量な翻訳を短時間でしているからと言って、単価下げを要求しないで下さい。交渉には乗りません」というような趣旨の発言をされ、会場の笑いを取っていた。

ここはとても重要なポイントだと私は思う。

翻訳技術を向上させる為の技を、こうして皆にシェアしてくれているのである。業界の底上げをしてくれているのである。こんな有難い話はない。しかし、それが故に単価を下げられては、何人も二度と自分が編み出した翻訳技術や作業効率改善技術を口外しなくなってしまう。そんな翻訳会社やクライアントが存在しない事を祈るばかりだ。




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