不安定の方が速く動き出せる。
そう書きましたが。
これをもう一段階進めると。
「つまずけば、すぐトップスピード」
ってことかな、と。
誰でも歩いているときなどに、ふいに何かにつまずくと…
おっと!
倒れまいと、手や足が無意識に出る。
特に足。
その場で踏ん張ろうとするんじゃなく、身体の倒れそうな方向に足を踏み出し、それでも倒れそうなら、その方向に移動している。
この動作、結構素早い。
本能的に倒れることを嫌う、倒れないようにする。
だから、つまずいたら、危険防止の本能で、いきなりトップスピードを出す。
誰しも備わった能力。
これを使えば、素早い動きが出来る、って話です。
安定しちゃうと動けない。
動こうとして踏ん張ってしまうと遅くなる。
最近、剣道の稽古について考えていて思うのは
「本能を消していく」のではなく
「本能を利用する」ほうが上手く行くんじゃないか、ということ。
年も取ってきたので、筋力アップで対処しようというのは難しい。
そもそも筋トレ嫌いだし
10年くらい前は、100本切り返し10回、10本面打ち10回、なんて稽古もしましたが。
そのような稽古法も無駄とは言わないけれど、筋力アップでスピードアップを目指すのは、気をつけないと本末転倒になるかなと感じます。
身体の動く仕組み、筋肉と骨格、姿勢の連携を無視して、一部の筋肉だけ鍛えてしまうと、筋肉が関節の動きを制限して、骨格をがんじがらめにしてしまうように思います。
このつまずく動作。
先日の稽古でもやってみたんですが、上手く面へ届きました。
右足を半歩進める、その足を床に置くか置かないかというときに
「わざとつまずく」かのように右足の指を床にトン、と叩くように。
身体は、「あっ、倒れそうっ」っていう具合に。
全然左足で蹴る感触ではなく、前に踏み出すことが出来て。
うん、蹴るより、つまずいた方が速い、と実感した次第。
この危険防止の本能を上手く使いこなせれば、筋力勝負じゃないことが出来そうに思います。