コガネムシ,カナブン,ハナムグリの違いは何だい?いや難題。 | 昆虫漂流記

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コガネムシと、カナブンとハナムグリの

違いは何だい?いや難題。


皆さんは、3つの仲間を分ける事が出来るでしょうか?



レギウスオオツノハナムグリ
昔はレギウスと云えばこちらのハナムグリが呼ばれていましたが

今はクワガタのレギウスを示す事が多いですね。

時代と共に同じ名前でも対象が変わっていくようです。

ゴライアス、オリエンタリス等と共に世界最大、最重量のハナムグリの仲間。
未だ分類には研究者の頭を悩ませる巨大ハナムグリ。

国内産カナブンと同サイズのオオケバネカナブンとサイズ比較

左 オオケバネカナブン Thailand・Fang産 

右 レギウスオオツノハナムグリ  

 

私は今から20数年以上前に、出入りのクワガタ、カブトムシを販売している昆虫SHOPから、

尋ねられた事があります。
当時は、第2次オオクワブームと云われ、

昆虫SHOPでは販売に重点を置かれて、

標本を作製しているSHOPは最大手の幾つかの例外を外せばほぼ皆無であったので、

標本の作成や簡単な学術用語や飼育法などを質問される事もあったのですが、

この答えを世界の昆虫を飼育されてる玄人の方々に説明するのに困った経験があります。
(当時は、日本国内初入荷種が多い年代で多くの虫馬鹿が飼育に知恵を出し合っていました)

 

「コガネムシ、カナブン、ハナムグリ、ブイブイはどこが違うの?」
(ブイブイとはアオドウガネなどを加えたドウガネブイブイ類)
さあ!皆さん!!こんな質問されたら、

どんな答えを用意出来ますか?


コガネムシ類全般の仲間を示す一般名は鰓角類(さいかくるい)と呼ばれて触覚が櫛歯型の甲虫類の一部を示しているのですが、

大きく分けて食糞類と食草類が含まれます。
その
鰓角類のコガネムシ科は

センチコガネなどの食糞類、

カブトムシ類、テナガコガネ類、コガネムシ類、ハナムグリ類、カナブン類などの食草類

として広義の仲間で構成しています。
(クワガタ虫は食草類だが、コガネムシ科ではなくクワガタムシ科です)

 

その中でも問題なのがコガネムシ、ハナムグリ、カナブンと名が付く仲間でしょう。
最近は色々な人が違いや見分ける方法を記述されているので

参考にすることが出来きるのですが、子供たちに説明するのには頭を悩ませます。
(この記事も理解が難しいので頭を悩ませます。すみません!)

 

単純に国内産の固有の1種名を示す「コガネムシ」「ハナムグリ(ナミハナムグリ)」「カナブン」の3種類を区別するには外見や生態からも見分ける事は容易い事なのですが、それらを含む大きな仲間を説明するには、頭を抱えることになります。

 

日本国内で名付けられた和名は抽象的な形や大きさ、生態などから名付けられたので、名前を参考に分類するのには問題があります。
国内産だけではなく世界のコガネムシ科を見ているとますます頭を抱える事態に陥ってしまいます。

 

とはいえ話を進めるには1種名を示す「コガネムシ」を述べなければいけません。


「コガネムシ」
漢字で「黄金虫」「金亀子虫」と書かれ、童謡にも
作詞 野口雨情「コガネムシ」
「コガネムシは金持ちだ、金蔵建てた、蔵建てた。~」と皆さんがご存じの歌詞が有名ですね。
ただこの歌詞のコガネムシはチャバネゴキブリを指している事もご存知の方も多いはずです。


オオスジコガネ

日本国内で見られる「コガネムシ」とその近い種は、成虫は植物の葉を餌とし、幼虫は地中で植物の根の害虫となっています。
例えば
日本では、色々な生物の間で外来種の問題が大きくなっていますが、
国内に広く生息し、身近なコガネムシの仲間の「マメコガネ」は日本では被害は表面化していませんが
アメリカにおいては「ジャパニーズビートル」と呼ばれるジャガイモや大豆の大害虫となっていて、

アメリカ版外来種の大問題種で間違いありません。

 

「ハナムグリ」
「ナミハナムグリ」と通常呼ばれる普通種で花に潜って、花粉や、蜜を餌にしている事から、

花に潜る虫を意味する「花潜虫」から命名され、それらの仲間にも○○ハナムグリと抽象的に命名されています。

 

「カナブン」
漢字で示すと「金蚉、金蚊」です。

金属光沢のある鞘翅の昆虫が飛んでいる姿を、飛んでいる蚊を示す文字を追加されてブン(蚊と云う文字は飛蚊症(ヒブンショウ)のようにブンと読めます)と読まれて表現されているのでしょう。

(ちなみに蚊と云う文字は蚊が「ぶ~ん」と飛ぶ音から虫編に文を追加されて書かれた漢字で形声文字と云います。)

 

ちなみにカナブンは樹液に集まる昆虫ですが、
名前がハナムグリと付く「シラホシハナムグリ」や「シロテンハナムグリ」は花にも樹液にも集まる事から、生態と名前だけでは名前から分類して見分ける事も不可能であるのが理解できると思います。

 

学術的分類では
昆虫網-鞘翅目(甲虫目)-カブトムシ亜目-コガネムシ下目-コガネムシ上科-コガネムシ科
と細分化されていくのですが
コガネムシ科の中にハナムグリ亜科が含まれており、

そのハナムグリ亜科以外にも○○ハナムグリ亜科や○○コガネ亜科と云う言葉が付いたハナムグリ亜科以外の亜科があります。
またハナムグリ亜科の中に○○ハナムグリ族や、△△カナブン族が含まれています。
さらにその○○ハナムグリ族の中に~。

きりがないようですね。

要約するとコガネムシの仲間には、コガネムシやハナムグリやカナブンの名前が列記されてついている訳です。


ややこしいですよね???

とりあえずは例を挙げると次のようになります。
また頭を悩ませてくださいね。イヤイヤ楽しんで下さい。

 

外国産では

マックレイツヤカナブン(マックレーツヤカナブン)
フィリピンのパラワン島以外のほとんどの島に見られる美しい種類。

(下の添付写真は原名亜種)

原名亜種はフィリピン各島に分布し鞘翅の黒紋の発達に差がある。
ミンダナオ島には、原型亜種以外に山間部にはssp.suturalisが生息すると云われています。

標本写真で確認したところ、原名亜種より背面黒紋はより発達し、地色の明るい緑色とは対照的に深緑色になるのが一目で違いが判ります。
(ssp.とは亜種を意味する「subspecies」を略したもので最後の「.」が略していますよと云う記号。

ちなみにsp.は種(小種名)で未同定を意味してます。)
Dorcus sp.はまだ同定できていないドルクスの仲間の1つですよと云う訳。

 

 

セブヒメカブトハナムグリと云われるカブトハナムグリの仲間
(コガネムシ科ハナムグリ亜科カブトハナムグリ族ヒメカブトハナムグリ属のセブヒメカブトハナムグリ)

名前にコガネ~、ハナムグリ~、カブト~と使える物は並べて使われてます。
本家のカブトハナムグリは高価な価格の種類ですが、ヒメがつくこちらは財布にも優しく安価。

 

ポリフェムスハナムグリとも云われるポリフェムスオオツノカナブン
(コガネムシ科ハナムグリ亜科カナブン族カナブン亜族、オオツノカナブン属のポリフェムスオオツノカナブン)
ギリシャ神話の一つ目の巨人族ポリフェムスより命名されています。


グリーン系

飼育は他のメキロリーナ属のオオツノカナブン類と同様に安易ですが、飼育温度の管理は絶対必要。
15度以下では、極端に活動が衰えますが、幼虫はもう少しは低温でも大丈夫。

飼育途中までは羽化時期を揃える為に多頭飼育がお薦め。でも極端に大きくはならない?

(勝手な解釈?なのかも)


赤色系

メキロリーナ属は大きく2つに分ける事が可能で、

ポリフェムスはMecynorhinaの仲間、

トルクアータの幾つかの種類にはMecyrorhinellaの仲間に分けられるグループですが、

どちらのグループも雄の個体差異は少なからず見られる反面、

雌の差異は少ない事から同じグループに含ませる学者さんもいます。

 

これらハナムグリ、カブトムシ等の腐葉土類を餌として使う仲間の飼育には、

ドッグフードを添加剤として混ぜてやると、大きくなると云われてた都市伝説が~?
その際には、餌にならなかったドッグフードにダニが集まるのでダニを取り除くためにも役立つ方法です。(その際には、殺虫成分の含んだ腐葉土や、虫下しの成分を含んだペット飼料には気をつける事は必要不可欠です)

 

国内産では

ハナムグリ(ナミハナムグリ)もしくはアオハナムグリのどちらか?
コガネムシ科ハナムグリ亜科ハナムグリ族ハナムグリ亜族ハナムグリ属ナミハナムグリもしくはアオハナムグリ?

 

クロハナムグリ
コガネムシ科ハナムグリ亜科ハナムグリ族ハナムグリ亜族クロハナムグリ属クロハナムグリ

 

カナブン
コガネムシ科ハナムグリ亜科カナブン族カナブン亜族カナブン属のカナブン

 

アカマダラコガネ(アカマダラハナムグリ)
コガネムシ科ハナムグリ亜科マダラハナムグリ族マダラハナムグリ属アカマダラハナムグリ
こちらのマダラハナムグリの仲間はアフリカ産はマダラハナムグリ族、アジア産はハナムグリ族に入れられていましたが1984年にマダラハナムグリ族に一括されています。

 

幾つも例を出すと、さらにややこしいのでこの辺でおしまいです!

 

でも答えが書かれていないですよね?
「コガネムシと、カナブンとハナムグリの違い」は何?という事が!

 

甲虫の背面にあります小盾板の形で分けるなどの方法が知られているようですが、
質問されるのは子供が中心ですので、種類を並べ形の違いを理解しなければいけませんね!

 

国内の単純にカナブンと呼ばれる種類と、コガネムシでは

こんな具合に見分けが出来ますがどうでしょう?

でも、小種名のカナブンとコガネムシを見分けるのには使えますが、その他は?

 

例外は見られますがこんな答えでは如何ですか?
カナブンとハナムグリは上翅(鞘翅)を閉じて折りたたまれた中翅を大きく広げて飛びますが、コガネムシはクワガタ虫やカブトムシと同じように上翅(鞘翅)を広げ、其の上で中翅を広げた4枚の翅を使って飛びます。
また2枚翅で飛ぶハナムグリやカナブンの方が飛行力は優れているようです。

 

 

またコガネムシやカブトムシは街灯に集まって来るように夜行性の種類が多いですが、ハナムグリやカナブンは街灯に集まる事も稀で昼行性の場合が多く見られます。

 

でもね~!!

ただこれらも、マダガスカルとニューカレドニアにはコガネムシ科カブトムシ亜科にヘクソドンカブトムシの仲間とその近縁種の「飛べないカブトムシ」が草原を歩いています。
やはり完全な答えとは、首をかしげる事ですね。

 

参考までに

食草類のコガネムシ類の植物の葉を食べる仲間に見られる行動ですが、コガネムシ類は葉を食べる際には自分の留っている場所を手前から奥に向かって食べていくのに対し、

同じ植物食の蝶、蛾の仲間のイモムシ類は頭を伸ばして奥から手前に向かって食べる行動の違いがある事もコガネムシの記事の際ですので、昆虫の生態の違いで述べておきます。

 

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後書(この記事を書くに至って)
実は、此の題材をとりあげる前はテナガコガネを題材にするつもりでした。
生体輸入は禁止種のうえ標本でさえも高価な上、最近は売り切れも目立っている昆虫。
昆虫情報も少ないが題目に取り上げるのは面白そうだ。と安易に考えていました。

しかし日が経つに、コガネムシと名が付く限りは、先にこの記事を書く事が必要と~。
其処が、大きな、間違いでした。
此のブログ記事を書いた今は1月中半の真冬。
野外でハナムグリ、カナブンの写真等の材料を集める事は不可能。
其の上、記事内に科名から小種名まで同じ固有名詞が出てきて紛らわしい。
とりあえずは、昨年の野外での撮影写真から探して見ました。
生体写真が不可能な場合は、自分の標本を撮影して何とか文章を付けたし形式的には形に!
成る様には、なったのかな?
写真等の資料不足など、ご了承お願いします。

申し訳ありません。
 

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此の記事を書いた本日は、阪神・淡路大震災から丸23年になります。
兵庫県南部に住む私には、もう23年と、まだ23年の思いが
重く心にあります。

姫路市に住む私が震災後に、この場所に向かう際に、

神戸は北は六甲山、南は瀬戸内海に挟まれた土地柄で、交通が遮断された神戸に向かうには、情報収集に苦労した事を覚えています。
あの地震の数日後、車一杯の荷物と身内が未確認の為に訪れた神戸六甲道は~~、
立ち止まった場所からは~~、
目の前の~、 すべての何もかもが、遥か彼方まで焼け野原に変わり果てていました。
まだ朝日が昇る前の時刻で薄暗くて

焼け焦げた匂いが~空気が~充満している寒い朝でした。
その光景の前では、足の先から頭の端まで、体全体で震えた怖さを!当時を!

今も覚えています。

 

日本は地震の国ですが

地震だけでなく、火災、水害、犯罪など生活を脅かす物事から~!
各地で起こる自然災害の場所から離れている方々にも~!
「もしかしたら、いつの日か?」と!
自分の大切な家族の為に、友人の為に~

少しの時間でいいから

思い出して下さい。考えてみて下さい。

あなたの未来と明日の為にも~!

☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜