いろいろあったものの、転院の日取りも決まり、ホッとした私でした。
退院前にちょうど予定していた先生のお話しも何とか予定通り聞けることとなり...
続きです。前回の話はこちら⬇️
母の転院準備を急いで進めながら、木曜日、予定通り先生のお話しを伺うべく病院に向かった。
診察室に入るとあの魔女先生と看護師さんがいた。
席につくと、先生はパソコンを見ながら説明を始めた。(以下、は先生、👩🏻は私)
「脳梗塞と脳出血で大学病院に運ばれて、そこからこちらに転院してきた梅園風子さんですね。
91歳ですからね。
排泄はおむつ、立ち上がり、起き上がり、着替え等も全て全介助。
認知症で会話での意思疎通も難しいので、リハビリの指示も理解できないから、リハビリも進んでいませんね。
まあ、これ以上の回復は見込めません。」
なんだって〜?!
👩🏻「ち、ちょっと待って下さい。大学病院では会話も成り立っていましたし、それは以前より悪くなってしまっているということですか?」
「91歳ですからね(そんなに何度も言わなくていいよ)。衰えていくのはあたりまえです。それに認知症で会話が成り立たないのですから、リハビリもしようがありません。」
👩🏻「それでは、これから普通に話したりトイレに行ったりはもう無理ということでしょうか。」
「そうですね。もう人間らしい生活は無理ですね」
人間らしい生活は無理?!
どういうこと??そんなひどい言い方ある?!
私は血の気が引く思いだったが、再度聞き返した。先生の言い間違い(言葉の選択ミス?)かもしれない。
👩🏻「これからリハビリを頑張っても、母はもう人間らしい生活はできないとおっしゃるのですか」
「はい、そうです。人間らしい生活は無理です」
👩🏻「. . . .」
何をもって "人間らしい" というのかもわからないが、そんなこと患者の家族に言ってのけるのか?!
私は顔面蒼白だったかもしれない。
隣で看護師さんが困ったような顔をして立っていた。
. . . . .
これ以上、話しをしても無駄だと思った。
私はありったけの理性で自分をおさえながら
「わかりました。お世話になりました。」
と言って一礼して部屋を出た。
ショックとやりきれない思いで体がブルブル震えた。
涙を堪えるのに必死だった。
会話での意思疎通が無理なんて!この間まで普通に会話できていたのに。
もちろん、認知症で同じことを繰り返したり、おかしなところもあるけれど、そんな会話での意思疎通が無理なんて、そこまでひどくはないだろう。
でも、コロナで面会禁止になって、母とこのところ会えていない。
高齢者だから急激に衰えて、今は会話も成り立たなくなってしまったのだろうか?
いやいや、魔女先生の言っていることは正しくなんかない。とんでもない病院だから、転院を決めたのだから、こんなことでショックを受けることはない。
真に受けたらダメだ。
そう自分に言い聞かせながらも、やはりショックが大きくて、入院費の請求書を受け取って、病院から出たら、溢れる涙を止めることはできなかった。
リハビリしても、もう回復の見込みはない、そしてもう人間らしい生活はできないという言葉が私の中で何度も何度も何度も繰り返され、私を打ちのめしていた。
人間らしい生活は無理
という胸をえぐるような言葉の響きを、私は忘れることはないだろう。
(つづく)