日の丸・君が代 中学生のための政治・12 | アトラス塩浜のブログ

日の丸・君が代 中学生のための政治・12

「国歌嫌なら教員辞めよ」発言
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=885239&media_id=4

思うに、思想良心の自由について「場合により制限すべきだ」と考えている人は、自分が正しいと考えている思想を他人に押し付けるという方向だけを連想しているのだと思います。

そういうことが許されると思っている人は、是非想像力を発揮して、自分が納得できない思想を他人から押し付けられるという方向についても考えてほしいのです。

「ともかく法律で決まった以上、教育者たるもの、国旗をかかげ、国歌を歌うべきであって、それをしない場合に首になるなど、不利益な処分を受けても当然である」という意見についてだけ触れておこうと思います。

第一の問題は、この法律ができる過程ではそういう議論ではなかったのです。
「公職につく者、国歌・国旗を尊重すべし。強制も当然である。」という考え方もあっても良いですが、それならば法律を作る時点で堂々とそう主張すべきです。
まずは「強制しない」という約束をしておいて、法律ができた後でそういう条件を加えるのでは民主主義もくそもありません。

第二に、先ほど私が述べた問題です。、是非想像力を発揮して、自分が納得できない思想を他人から押し付けられることを考えてほしい・・ということです。

たとえば、今の日本ではありそうもないですが、共産党が政権をとり、赤旗が国旗になり、たとえば「労働者バンザイ」とでも言う歌が国歌になったときに、「法律で決まった以上は押し付けられて当然。嫌ならば公職を去るべき」という主張を維持するのでしょうか。
あるいは、現在社民党という小さな政党の党首をやっている福島瑞穂さんは、かつて「国歌を‘となりのトトロ‘にしよう」などと主張しました。
卒業式で「となりのトットロ、トットーロ」などと歌わなければいけないのでしょうか。私は絶対嫌です。
国歌・国旗が決まるのは良い、その歴史、成り立ちを教えるのも良いでしょう。
しかし、人間の尊厳の最後の砦として、それを歌うか歌わないか、そんなことは各自の自由に任せておいてほしい。
「隣のトトロ」を強制されたくない人は、君が代が嫌いな人に強制するのもやめるべきです。

第三に、少し論点が変わりますが、強制して歌わせたり愛させたりして満足でしょうか。
私は大学時代、毎週中庭でプロレスをしていました。たまに解説や司会の人が気を利かせたつもりで「ここで拍手だー」などと言うと、私はむしろムッとしました。
ほしいのは、思わず出てくる拍手であり、思わず出てくる賞賛です。お義理の拍手なんかいりません。
あるいは、私の授業の時に横に誰か来て、「さあ、今、塩浜先生が面白いことを言いました。みんなで笑いましょう」なんて言ったら怒ります。
私の友人はバレンタインデーの前に知っている女性に電話をかけまくり、「ぼくはいつもチョコレートがもらえなくて寂しい思いをしているんだ。」と言ってチョコレートを請求していました。私は、そこまでしてチョコレートをほしいとは思いません。
また、別の友人、日村君(仮名)は、アイドルから「日村さん、大好きよ」というコメントつきのサインをもらいました。私のにはそんなことは書いていません。変だと思ったら、その人は「うそでも良いから日村さん大好きよ、と書いてください」とリクエストしたそうです。
私は、そういったことをすると、自分を安売りしたような気がするのでやりたくないのです。「日の丸を掲げないと不利益処分にする。君が代を歌わないと処分する」などというのは、君が代や日の丸を安売りしてバカにしたことになりはしないでしょうか。
処分をちらつかせないと愛されないようなものなのでしょうか。

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