書感 「赤穂浪士」 大佛次郎

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“講釈師 冬は義士 夏はお化けで 飯を食い”


・・・というくらい講談に忠臣蔵と怪談は付き物なのですが、これから冬に向かう前に忠臣蔵をおさらいしておこうと、忠臣蔵関連を書物を探しに古書店を訪れた際、見かけたのがこちら。
天保銭日乗-赤穂浪士
大佛次郎さんの『赤穂浪士』。


池波正太郎さんの『おれの足音』なんかは既読で、それなりに筋はわかっているのですが、やはりオーソドックスなものを押さえておかねばと思っていた折。


こちらは1927年(昭和2年)の初出なので、古典的な忠臣蔵であろうと、求めてきたのですが。


・・・これが存外に新鮮なのです。


解説によると、四十七士を従来の“義士”ではなく“浪士”として捉え、金融恐慌や山東出兵に代表される当時の世相と討入りの行われた元禄期を重ね合わせた画期的な作品とのことなのですが、このまま現在と重ね合わせたと言っても通じてしまいそうな雰囲気を持っています。


現在と昭和初期というのは、やはり時代の匂いが同質なのでしょうか。


作品では、堀田隼人という架空の浪人を主人公に据え、堀田の視点から大石ら赤穂浪士の行動を描いていきます。


滅びゆく武士道に殉ずるかのような赤穂浪士と刀を算盤に持ち替えた幕閣らとの間で、堀田はただ見続けるのみで、何ら時代に関わることなく辻斬りにまで身を落としていく。


当初の目論見とはずれましたが、なかなか読み応えのある良書でございました。