書感 「真説 岡田以蔵」菊池明

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世の中は3連休の最終日。


・・・なのですが、こちらは土日と連続で仕事が入りまして、普通の週末よりも落ち着かない有様。


もっとも、異常とも思える暑さですから、家で大人しく書でも捲っていた方がよろしいかと、以前古書店で買い求めたままになっていた山から一冊取り出してみることに。
天保銭日乗-真説 岡田以蔵
岡田以蔵というと、薩摩の田中新兵衛、中村半次郎、肥後の河上彦斎と並び、後に“人斬り”と称された人物。


司馬遼太郎の『人斬り以蔵』や『竜馬がゆく』のイメージが独り歩きしていて、貧困層出身の粗暴で教養のない“狂犬”という姿で描かれがちですが、実際のところ、土佐の一般的な郷士の家に生まており、普通の土佐郷士としての教育は受けていたそうです。


武市瑞山に従い江戸で鏡心明智流の目録を納めているのは有名な話ですが、西洋砲術まで学んでいたとは驚きでした。


元々史料の少ない人物なので、推測の部分が多くなるのはやむを得ないところですが、以蔵中心に書くあまり、少々、我田引水的な展開を見せるところも。


『土佐偉人伝』では「天資剛勇にして武技を好み、躯幹魁偉にして偉丈夫」と称されている以蔵が何故勤王党の獄で自白をしたのか。


酒色に溺れ零落し矜持を失った故なのか、瑞山への反目なのか、それとも本書の推論が正しいのか・・・密室の獄での出来事で藩庁側と瑞山側の史料しか残っておらず、真相は闇の中ですが。


岡田以蔵の辞世の句。


君が為め尽くす心は水の泡 消えにし後ぞ澄みわたるべき


こういう句を詠めるということだけでも、世に流布しているイメージそのままの人物ではないのでしょうね。



・・・好きな句です。



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何が願いか存じませんが、“世はすべてこともなし”ですよ。