世界の裂け目と蛇と木の実 | 自己の延長としての外界,認識との戯れ。

世界の裂け目と蛇と木の実

もし

現象の構成要素が

虚像だと知らずにいられたのなら


世界に浮遊する不幸な心の群れは

孤独の概念を経験する事も無かったのでしょう


もしも

嘘が真実のままで居てくれたのなら

純粋さが罪に変容してまとわり付く苦しみを知る必要など無かったのでしょう


大気が見え透いた幻で濁される事もなく

身体の欠落を認識する余地もなく

風の中を舞う塵のような自己に絶望する事も無かったのでしょう


信仰は幻を食べて生き

偶像が不釣り合いな自己愛を満たす代わりに

在りもしない欠陥を創造しては

痛みを連鎖させてしまうのです


世界中のどんな心も一貫性無く彷徨い

自己認識とは裏腹に寄生し合い

互いを傾いた情で病ませてしまうのです


人の意識とは空間に遊離する不純物のようで

もともと死ぬまで幻影しかみることのできない人の目を欺き続け

明白な真理があるかのように謳っては

自ら血を流すのです