今回は1月にご案内した「ダビデの町」の続きです。

 

前回では、地理的なこと、ダビデの宮殿、4部屋の家、発掘されたものなどご案内いたしました。

 

 

急斜面の4部屋の家から進んでいくと、こんなごみ箱とマンホールがあります。

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 どちらも同じライオンが左側を向いているマークです。

紀元前10~6世紀にエルサレムのあった「ユダ王国」のシンボルは獅子(ユダは獅子の子:創世記49:9)でしたので、現在のエルサレムもこの獅子をシンボルマークとしています。

エルサレム市旗

 

このマーク、車好きな方には「何となく見覚えがあるゾ?」と思われる方も多いのではないかと思います。

フランスの自動車メーカー「プジョー」のある時期のエンブレムとそっくりです。

プジョー社のエンブレムは時期によって変わりますが、デザインは変わってもライオンをモチーフにいています。

これは、プジョー社の発祥の地では、強さの象徴としてライオンを用いていたため、自社製品の品質の高さ、強さを表すマークとして取り入れたのではないかと言われているそうです。

 

話が少しそれましたが、先に進むと階段があり、降りていくと建物のある所につきます。

入り口にはこんなボードがあります。

これは、後にご案内するヒゼキヤのトンネルの水深が70cmありますよ、と案内しているボードです。

顔の所がくりぬいてあるので、子供たちがいると記念写真を撮っていることも多いです。

 

建物の中に入ると発掘した当時の写真が展示されています。

らせん階段を下り、さらにトンネルのような通路を進んでいくと洞窟のようなところに出てきて、下に降りる階段があります。

 

この階段を降りていくと左側に大きな縦穴があります。

この縦穴は1867年にイギリスの考古学者チャールズ・ウォーレンが調査したときに見つけた縦穴で、ウォーレンは縦穴の下に水の湧いているギホンの泉があること、また水を汲んだようなロープの跡があったことなどから、サムエル記下5章8節に書かれた、

「そのとき、ダビデは言った。「エブス人を討とうとする者は皆、水くみのトンネルを通って町に入り、ダビデの命を憎むという足の不自由な者、目の見えない者を討て。」このために、目や足の不自由な者は神殿に入ってはならない、と言われるようになった。」

の記述にある通り、「水くみのトンネル」に一致するとしました。

 

一部の考古学者からは、水をくむ穴にしては穴が大きいこと、またまっすぐ掘られておらず、くねくねとしていることなどから、水汲みの穴ではないのではないかとこの説を疑問視しています。

そのため「「水くみのトンネル」や「ダビデの縦穴」とは名付けられず、発見したウォーレンの名前を付けられ、「ウォーレンの縦穴(Warren's Shaft)」と名付けられました。

 

「ウォーレンの縦穴」からさらに進んでいくと広い場所に出ます。

1995~2005年まで発掘調査が行われたところです。 


 

上記写真のぶ厚い壁は、紀元前18世紀ころの要塞として使われていた城壁の一部です。

ギホンの泉は重要な泉でありましたが、実はダビデの町の城壁の外にありました。

泉を奪われたりすると死活問題であったため、外側にあったこの泉を守るために、要塞のような塔を建てて泉を守りました。

 

さらに階段で下っていくと、水の湧いているところに出ます。

ギホンの泉です。

 

エルサレムの重要な水源で、詩編46編5節には「大河とその流れは、神の都に喜びを与える、いと高き神のいます聖所に。」

と書かれていますが、この「大河」がこのギホンの泉から湧き出る水の流れを表しているとされます。

「大河」と訳されている「נהר(ナハル)」というヘブライ語は、訳されている通り、大河、大きな川を意味しますが、実際には川と呼べない泉と水路があるだけです。

イザヤ書8章に「ゆるやかに流れるシロアの水」とあります通り、濁流のように流れる川ではありませんが、日照りが続いても絶えず水の湧き出す重要な水源であったこのギホンの泉から湧いて出る水は、当時の人たちにとってまさに「大河」だったのでしょう。

このギホンの泉では、ダビデの息子ソロモンの油注ぎがあった場所として、列王記上8章38~39節に書かれています。

「祭司ツァドク、預言者ナタン、ヨヤダの子ベナヤはクレタ人とペレティ人と共に下って行った。彼らはソロモンをダビデ王のらばに乗せ、ギホンに連れて行った。 祭司ツァドクは天幕から油の入った角を持って出て、ソロモンに油を注いだ。彼らが角笛を吹くと、民は皆、「ソロモン王、万歳」と叫んだ。」

 

泉から水を汲んで使ってもいましたが、シロアムの池まで水路を作り運用していました。

水路は2つあり、一つはカナン・トンネルです。

「ダビデの町3」で、改めてご案内するヒゼキヤの水路よりも古い時代に掘られたこのトンネルは、水路の途中に排水するところが何か所もあり、灌漑用としても使われていたと考えられています。

3千年も前に岩盤を掘って作られたトンネルは圧巻です。

 

もう一つのヒゼキヤのトンネルは、水深が一番深いところで70cmあることをご紹介しましたが、一年中一定の温度17~19℃くらいで、夏は気持ちよく、冬は少し暖かく感じます。

真っ暗なため懐中電灯やサンダルや、短パンか水着、タオルなど必要になるので、ツアーではなかなか歩きませんが、貴重な体験となることは間違いないです。

 

ダビデの町に来られたら、ぜひ、エルサレムの大事な水源「ギホンの泉」とこの「カナン・トンネル」、「ヒゼキヤのトンネル」の水路を歩いてみると聖書の時代を歩いている気になれますので、一度ご一緒に歩いてみませんか。