ギリシアの旅の続編として、地中海に浮かぶ島キプロスを3回に分けてご案内しています。今回が3回目、最後になります。

前回はサラミスの遺跡、バルナバの墓、トロードス山地に点在する世界遺産「トロードス地方の壁画聖堂群」などをご案内しました。今回は、パフォスとアフロディーテ誕生のペトラトゥロミウなどをご案内します。

 

その前に、キプロスでの観光産業は大変重要で、主にヨーロッパから年間400万人もの人がやってきます。寒いヨーロッパから暖かさを求めて来ますので、島の南側海岸沿いにはたくさんのリゾートホテルが立ち並んでいます。

私たちのツアーでも、首都ニコシアに泊まったあとは、リマソール付近の海岸沿いのリゾートホテルに連泊します。

私が宿泊したことがあるホテルの雰囲気はこんな感じで、左側の2階テラスで朝食がとれます。朝風に当たり、地中海を眺めながらゆったりと朝食、皆様にもぜひおすすめしたい旅のひとコマです。

 

さて私たちの旅は、リマソールから海岸沿いに西へ西へと進みます。最初の訪問地はクリオンの遺跡。20kmほどなのですぐに到着します。ヘロドトスによると、クリオンはギリシアのペロポネソス半島にいたアカイア人が、紀元前14世紀ころに植民都市として建てた町とされています。海岸すぐそばの高台に広がった遺跡は発掘が進み、立派なローマ時代からビザンチン時代の遺構がいろいろと発掘されています。

3000人を収容するとされるこの劇場は、発掘後整備が進められ、夏期(5-9月)にはしばしば野外コンサートが催されているようです。

 

もう1箇所、ここを訪れたらぜひ見ていただきたいのが「エウストリオスの家」。ビザンチン時代初期(紀元4-5世紀)に建てられたものですが、大きな家というだけでなく、貧しい人々のために浴場と休息所を開放していたようです。今は全体を雨風から保護するため、大きな屋根に覆われています。内にはきれいなモザイクが保存されていますが、中でもこのモザイク碑文は、キリスト教史の中で大切なものとされています。

「古代の武装された壁、鉄、青銅、アダマント(硬い石)の代わりに、この家は、崇拝されたキリストのしるしを多く持っている」

クリスチャンとしての家主の気持ちが込められた一文です。その他、十字架や魚のモザイクがたくさんあり、家の主をはじめ、この町には貴賎上下の区別なくクリスチャンがたくさんいた様子、それが当時の社会に広く受け入れられていたことが分かります。

 

さて、私たちはさらに西へ進み、美と愛と豊穣の女神アフロディーテ(ヴィーナス)誕生の地とされるペトラトゥロミウ(=ローマの岩の意味)へ。特に遺跡や記念碑があるわけではないのですが、やはり「ヴィーナス」と聞くと寄ってみたくなりますよね。駐車場から海岸へ降りると、海岸には巨大な岩があり、そこに打ち寄せる波の泡の中から生まれた、と言われます。


海岸の写真を撮ろうとカメラを構えると、ちょうど良いところに“ヴィーナスのような”女性が岩の上で日光浴をしていたので、思わずパチリ。

ちなみにこの海岸でハート型の石を見つけると、いい恋ができるとか。見つからなかった方のために、売店でもハート型のペンダントを売っています。


さてキプロスを旅していると、お土産物屋の店頭に、1mをゆうに超えるながーい棒状の食べ物が売られています。最初見たときは、食べ物かどうかさえもよく分かりませんでした。

 これは、ぶどうの絞り汁を使った伝統的なお菓子で「シュジュコ」と呼ばれるものです。

アーモンドなどのナッツを太めの糸に通し、小麦粉でとろみを付けたぶどうジュースの中に数度沈めて、3cmほどの太さになったところで乾燥させます。

最初これに出会ったとき、このままの長さで丸めて持って帰ろうと思ったのですが、まるでとぐろを巻いた蛇のようなものがスーツケースの中に入っているのを想像して断念。20cmくらいに切られてパックされたものを買って帰りました。

キプロスらしい伝統のお菓子ですので、行かれた際にはぜひ食べてみてください。

 

私たちは、更に西へ進みパフォスへ行きます。

このパフォスでの出来事が、使徒言行録13章6~7節以下にこのように記されています。

「島全体を巡ってパフォスまで行くと、ユダヤ人の魔術師で、バルイエスという一人の偽預言者に出会った。 この男は、地方総督セルギウス・パウルスという賢明な人物と交際していた。総督はバルナバとサウロを招いて、神の言葉を聞こうとした。 」

セルギウス・パウルスは地方総督ですので、ローマから遣わされた島内で最も権威ある人物、その人は聡明な人で神の言葉を聞きたがっていたこと、彼にはバルイエスという偽預言者がいたことが分かります。

話の続きを読むと、この魔術師が総督の意向に反して、パウロとバルナバを遠ざけようとしたこと、パウロは彼を睨みつけて「悪魔の子、目が見えなくなる」と告げ、またたく間にそうなったこと、そのことを通してセルギウス・パウルスが「主の教えに非常に驚き、信仰に入った」ことが語られています。

総督が回心してしまう、というキプロス伝道の最も輝かしい成果でした。

 

現代のパフォスでは、港のすぐ横に「パフォス考古学公園」があり、その中にある、ディオニソスの館、テーセウスの館などが見学できるようになっています。いずれも素晴らしいモザイクの床がたくさん発見されており、館の名前はそこから発見されたモザイクの中でも代表的なモチーフから取られています。

特にテーセウスの館には100部屋ほどあったようで、その規模はこの地区でも群を抜いており、ここが「総督の館」だったであろうと言われています。下記のモザイクは、その館内のモザイクの一つです。パウロが魔術師と対決した部屋、総督と会った部屋はどこでしょうかね。

このパフォスにはもう一つ訪れたいところがあります。

キプロスに伝えられる伝説で、パウロ一行は総督に合う前に捕らえられ、39回の鞭打ちの刑に処せられた、とされています。その時パウロを縛り付けた、という柱が聖キリキア教会の敷地内にあり、保存されています。下記の写真にある、短くなった頭の丸い柱です。

柱の下には小さなプレートが置かれていて、そのことを記念しています。

 

さて、3回にわたりキプロスをご案内してまいりました。豊かな自然、パウロなど聖書の背景、多くの歴史遺産があり大変魅力のある島です。機会があれば、ぜひ皆さんにもこの島をご案内したいと思います。