かつてのイギリスの海賊船が、もとはスペインとの戦争の時に自国の商船を武装させてスペイン船を襲わせた私掠船だったように、宇宙海賊船も、もとは、銀河大戦の時、双方の陣営が自国商船を武装させて、敵の商船を襲わせた私掠船だった。

大戦終結後、両陣営の軍縮により、多くの宇宙軍艦が退役させられ、多くの宇宙軍将兵が除隊させられた。
一方、大戦終結後、海賊行為を禁止された私掠船の中には、海賊行為によるボロ儲けの旨味が忘れられず、勝手に、かつての敵国の商船を襲い続けるだけでなく、自国の商船まで襲い始める連中が現れ始めた。
慌てた連邦政府は、退役艦艇・将兵を現役に復帰させたが、宇宙海賊となった、かつての戦友に誘われ、反乱を起こして軍艦を乗っ取り、宇宙海賊になる者が続出した。
これは、実は多星籍大企業の軍事産業部門の陰謀だった。
もともと、銀河大戦を起こしたのも、多星籍大企業軍事産業部門の陰謀だったのだ。

多星籍大企業の軍事産業部門は連邦政府に宇宙軍艦の建造費用を出し続けさせ、損害保険部門は保険料を吊り上げ、商社は海賊の略奪した商品を密かに買い取って安売りし、ボロ儲けを続けた。

やがて関税収入の減少と軍事費の増加によって政府が弱体化して来ると、警備保障部門が傭兵艦隊を組織し、政府から民間委託されて、宇宙海賊の討伐を行うようになった。

同じ系列の海賊会社と警備会社の戦いは、当然、八百長だったが、時にはガチンコ勝負デスマッチを演じさせた。
警備会社側、海賊会社側、双方の武装艦が、たまには損傷消耗した方が儲かるし、勝負を生中継して賭博の対象にすることでも、ひと儲けできる。 宇宙海賊をヒーロー扱いしたドラマの制作などでもひと儲け。
こうして、銀河大戦後の銀河系は、多星籍大企業の支援を受けた宇宙海賊を中心とした宇宙になっているのだった。

続く