The BeatlesのStrawberry Fields Foreverにおいて、メロトロンで演奏されるイントロの和声分析を行います。
譜例上段が原曲そのまま、下段は転移音を還元した原型です。原型から本楽曲のイントロの和声は Vから始まりIVへ進行し、そこからセカンダリドミナントを介してVIに向かい、Vから主和音に終止するという流れであることがわかります。古典的な和声学ではVからIVへの進行を嫌いますが、ブルースでは普通に用いられる進行です。このあたりにジョンらしさがでているのかもしれません。
とはいえ、本楽曲のイントロはどことなく「クラシカル」な趣を感じます。それを特徴付けているのが第1小節第3拍から、第2小節第2拍にかけた、上方転位による偶成和音と、第1小節から第2小節かけてクロマチックに下行するバスです。譜例下段の原型と比べてみると、上音転移音を用いることで巧みに連続5度が避けられていることがわかります。