Here Today徹底分析(8) | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

音楽学者、アマチュアキーボーディストの藤野純也の総合ブログです。

Here Todayのテキストより、冒頭の節と、最後の節を比較してみましょう(訳は筆者による)。


【冒頭の節】

And if I say I really Knew you well,
What Would Your Answer Be?
if You Were Here Today
 

君のことはなんでも知ってるって言えば
君はなんて答えるだろうね?
今ここに、君がいるなら...
 

【最後の節】

And if I say I really loved you
and was glad you came along.
And you were here today
for you were in my song
here today
 


君のことが大好きだったって

君と一緒に過ごせて嬉しかったって口にすれば

君はここにいるのさ

だって、君は僕の歌の中にいるんだから

今、ここにね


冒頭では仮定法過去の構文により「もう君はここにいない」ことが歌われていました。

それとは対照的に、最後の節では「君は今ここにいる」と歌われており"here today"の意味が完全に逆転されているのです。
 

つまり、Here Todayのテキストは「「君と出会えた喜び([B1])」「君との思い出([B2])」の振り返りというセラピー的プロセスを経ることで、君のいない苦しみ([A])」が寛解する、救済の物語として読み解くことができるのです



 

これまでの連載をお読みくださった方は、このテキスト構成と、和声の構造が、極めて厳格に対応していることがご理解いただけることかと思います。
 

ここまで8回に渡って行ってきた連載も、次回でいよいよ最終回です。

次回は「救済」が音楽でどのように表現されているのかを分析します。
ご期待ください。