Here Today徹底分析(5) | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

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ここからはHere Todayの中間部の分析を行います。

中間部は"But as for me"から始まる前半と"What about the time"から始まる後半に分けられます。ここでは便宜上前者に[B1]後者を[B2]と呼ぶことにしましょう。
 

[A]がKey of Gでありながら「メジャー感」を隠蔽する構造になっていることはすでに述べました。[A]のセクションは2回繰り返され、曲は[B1]に進みます。[B1]で調はKey of Cに転調しますが、G sus4のあとに出てくるCは Iというよりは、IVに向かうセカンダリドミナントと解釈する方が理にかなっているでしょう。
 

[B1]はKey of CのIVであるFから始まり、変格終止により主和音Cへと進行します。ここで[A]のセクションの冒頭のコードをもう一度見て見ましょう。[A]の冒頭のコード進行は C#m7-5 CM7 G でした。前回述べたように冒頭のC#m7-5は後続するCM7の転位和音であるため、[A]の冒頭の骨格はIV-Iの進行であると言えます。
 

さて、[B1]の冒頭はどうでしょうか、調はKey of C、コードは F Cなので、和声分析すると[A]も[B1]も冒頭が変格終止であることがわかります。このことで曲に統一性がもたらされているとも言えますが、その雰囲気は相当に異なります。[A]が闇だとすれば[B]はそこにぱっと光がさしているような感じがします。歌詞をみても[B1]では「僕たちが昔どんなだったか、いまでも覚えているよ」とうたわれ「君」との離別がうたわれた[A]と対比がつけられていることは明白です。

 

ここで主張したいのは、歌詞だけではなく音楽でも光と影の対比が表現されていることです。[A]の「嘆きの旋律」の部分を思い出してください。コードで言えばCm Gの部分です。 ここでは「嘆きを表すIVの和音として出現したマイナーコードのCmが[B]ではメジャーコードCに変化し、主和音=Iとして登場するのです。ここに悲しみから「君」に出会えた喜びへと向かう心情の変化が表現されているのです。

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