Here Today 徹底分析(1) | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

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ポール・マッカートニーがその盟友ジョン・レノンに捧げた楽曲 Here Todayを、歌詞の内容と和声法を関連づけて分析します。

Here Todayの冒頭で聞かれるアルペジオの和音構成音は"C#,E,G,B"コードネームで言うとC#m7-5です。

このコードは非常に不安定かつ不協和な響きをもつため、楽典、和声法でいうところの「主和音」にはなりえません。

しかも、この和音にはこの曲の調性であるKey of Gに含まれないC#を含む調性外のノンダイア・トニックコードです。

 

主和音になりえない上にノンダイアトニックであるコードが冒頭からしかも1小節丸ごと響くというのは相当に異例です。

もちろん、和声法的に解釈すればこのコードは後続するCM7に対するアプローチコードとして解釈することができ、この用法じたいは他の楽曲でも聞くことができるものです。しかしそのことはあまり重要ではありません。

 

"Here Today"という楽曲の成立過程を知る人なら、C#m7-5という不安定かつ不協和な和音の悲痛な響きから「あの出来事」を思い起こさずはいられないはずです。それこそが冒頭でなり響くC#m7-5が語りかける効果なのです。