バンドのアンサンブルを良くするためにすべきたった一つのこと | 音楽研究者 藤野純也のブログ

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音楽学者、アマチュアキーボーディストの藤野純也の総合ブログです。

・「無駄な音」だしてませんか?

今回のテーマは「スタジオ練習中、アンサンブル以外で音を出すな」です。スタジオに入って、自分の楽器のセッティングが終わっても、最大音量のままで、ずっと個人練習してる人がいます。そういう人は大抵、練習が始まってからもドラムのカウントが始まる直前まで何か音だしてますし。演奏が終わるやいなや、最終コードの残響が消えるよりも早く、なにやらまた弾き始めます。

経験上、演奏以外で出す音の多さと、演奏の質は反比例します。誤解をさけるために強調しますが、「演奏マナー論」を書きたいのではありません。演奏以外で鳴らされる無駄な音の存在が、直接的に演奏の質に悪影響を与えているように思えてならないのです。

・サウンドスケープと音の感受性の関係

普段から音楽に接してる人こそ気がつきにくいのですけど、実は人間って、音を聴くととても疲れるんですよ。よく田舎にいくと癒やされるっていう人いますよね。それは田舎は都会に比べて、周囲で鳴り響く人工音の数が圧倒的に少ないからです。

それでは田舎で育った人が都会に移り住むとどうなるでしょうか。始めはあまりの騒音に疲弊するかもしれません。しかし、数日もすれば普通に生活できるようになります。なぜなら、自己防衛のため、徐々に周囲の音に対する感受性が鈍っていくからです。

・スタジオのサウンドスケープ

さて、練習スタジオで鳴り響く音をサウンドスケープとして考えてみましょう、演奏以外でも音が常に鳴り響いていると、その音を出している本人以外はその音は非音楽的なノイズとしてとらえます。すると、自己防衛のために「音を聴かない」ようになる。これは周囲の音に「耳をそばだてる」ことが必須のアンサンブルにおいて致命傷になります。

・音楽における「静寂」の重要性

それに加え、1曲演奏する時に大切なのは、演奏前と演奏語後に、静寂を作ることです。演奏前に意識的に静寂を作ることで、演奏者は僅かの静寂の間に、これから演奏する音楽のテンポ、グルーブ、楽想などを頭の中で描いて、自分の内的世界をこれから演奏する曲の世界に変えることができますし。聴衆は、これから始まる音楽への期待を高めることで、聴く準備ができるのです。また、演奏後は演奏者と聴衆が共に、その「余韻」を味わう時間をつくらなければいけません。

もちろん、リハーサルでいちいちそんなことしてたら練習にならないでしょうが、「無駄な音」を出さないことを少し心がける、具体的に言えば、フレーズの確認をするときは、弦楽器ならボリュームを下げて生音で確認する、シンセなら手元のミキサーのマスターを切って、イヤモニで確認する等の心遣いをするだけで、それまで「無駄な音」により失われていた、音に対する感受性が蘇り、メンバーの集中力も高まって、アンサンブルが良くなることが期待されます。