The Beatles作品にみる「音楽言語」としてのII-V | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

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以前、The BeatlesのIf I Fellの冒頭のコード進行が、不安定な心情と決意を表していることを記事にした。The Endの分析においては、ラストのコード進行が全ての混沌を一つのCメジャーというコードに集約させるビートルズの物語のラストを飾るにふさわしいものであることを主張した。

 

 実はこのII曲はII-Vの進行が歌詞内容を強調する役割を果たしているという点で共通している。以下具体的に述べよう。なお日本語訳をすると語順が代わっり本稿の主張が伝わりづらくなるため、対訳は行わない。

 

 If I FellでII-Vは”And I found that love was more”の後、「私」が悟った内容が歌われる ”just holding hands”で登場する。

II-Vは楽典的に言えば、終止形すなわち調が確定される極めて重要な進行である。そのため、その上で歌われる言葉にも力強さが生まれる。とりわけ、If I Fellにおいては、冒頭が調性が曖昧な不安定なコード進行で始まり、その直後に調を確定させるII-Vが登場するため、それは不「悟り」を示す音楽言語として解釈しうる。

 

 The Beatlesの最後のアルバムAbbey Roadの最後の曲である The Endの最後にもIf I Fellと同様の構造を確認することができる。ここで歌われるのは “And, in the end, the love you take Is equal to the love you make“というビートルズのテーゼとも言えるメッセージである。冒頭は直前のギターバトルを受け継ぎAのコード上で歌われる。”the love you take Is equal to”で徐々に調が推移していき、”the love you make”でII-Vが登場し調が確定される。そこで歌われている内容と、音楽言語としてのII-Vの意味を考慮すれば、ここにII-Vが登場するのは必然であると言えよう。