I’ll Follow The Sunに関する考察(2) | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

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・はじめに

前回、I’ll Follow The Sunはバディ・ホリーのEverydayが元ネタになっているのではないかという話をした。元ネタの構造の模倣は作曲の初歩の段階ではだれもが行うことであるが、通常、盗作になってしまわないように、元ネタの匂いは残しつつ意図的に改変が加えられる。I’ll Follow The Sunの場合、形式はEverydayとまったく同じであるが、コード進行が非常に不思議なものとなっているので、今回はその話をしたい。

・2小節目のF7は何?

I’ll Follow The Sunの歌い出しはG7のコードで始まる。調はCなのでV7の和音である。歌い出しはIの和音であることが多いので、少しドキっとするが、必ずしもIで始まらなければいけないというわけではないので、ここはまあ良いとしよう。問題は後続和音である。

G7はドミナントなので、通常はI,III,VIのいずれかに進行するはずだが、ここではノン・ダイアトニックコード、F7に進行した後、Cに進む。

ノンダイアトニックのドミナント・コードはセカンダリドミナント、または代理ドミナントが最も多く使われるがいずれにも当てはまらなが、よくみると、G7->F7->Cというコード進行は、12小節ブルースの9−11小節目に現れるブルースの終止形であることがわかる。ブルースの終止形が突然冒頭に現れる、実に不思議な構成だ。

・D7 |C Em/B |D7  G7 |C

最後のD7→G7→Cはドッペルを含む終止形で、とくに珍しいものではないが、D7の直前のEm/Bが非常に不思議。

C Em/B とベースラインが ドーシーと順次下降すればその流れにのってラに行きたくなる、コードで言えばAmに進行するのが普通だ。しかしここではD7に進行してしまっている。

この謎は1-3小節目のコード進行と 5-6小節目のコード進行を比較するととける。5-6小節目は1-3小節目と「ほぼ」同じコード進行を5度上のKey of Gで繰り返していると解釈ができる。 つまりD7はV CがIVである。そして最後のEm/B をG6の第一展開形と解釈すれば、 D- S- Tというブルースのカデンツを転調を含んで2回繰り返すという構造が浮かび上がる。