Blackbirdの声部書法 | 音楽研究者 藤野純也のブログ:てるむじか

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アコースティック・ギターの名曲は数多くありますが、その中でもBlackbirdは異彩を放っています。一般に「ギターの名イントロ」と言われている曲の殆どは「コード奏法」のヴァリエーションです。Led zeppelinの《天国への階段》ハイポジションのAmのアルペジオにラインクリシェを絡ませたものですし、ビートルズのHere Comes The SunはDのコードフォームを基本に指を離したり、押さえたりすることでメロディをコードに織り込んでいます。このパターンは《ノルウェーの森》等、他のビートルズ楽曲にも頻出します。言い換えればほとんどのギターの名イントロはギタリストの手癖と密接にかかわっています。

一方Blakbirdはギタリストの手癖で思いつくようなものではありません。ソプラノとバスが独立した声部書法、クラシック音楽の作曲スタイルに近いのです。そこで試みに、ギターパートの両外声と主旋律の装飾を取り払い、骨格まで還元したものを合わせたスコアを書いて驚きました。ギターの両外声と歌のメロディの骨格を合わせるとまるで3声体の和声のようになったのです。

Blackbirdの分析譜

意識されたのか、たまたまなのかは断定できませんが、メロディ+ハーモニーのホモフォニーではなく、メロディ+メロディ=ハーモニーのポリフォニックなスタイルになっているんですね。

余談ですが、主旋律が9thやM7を取る部分がいくつかあり、曲を引き立てる良いスパイスになっていますね。弾き語りすると歌いにくい部分ではあるのですが。