円安が止まらない。

 

金利を上げればすぐにでも円高に進むことは誰もが分かっているのだが、金利を上げればすそ野が脆弱な日本経済は再びデフレ不況に突入する・・・。

あちらを立てればこちらが立たずで、身動きが取れない程に日本経済の足腰が弱くなっていることが分かる。

 

日本は資源のない貿易立国だから、輸入にも輸出にも支障をきたさないように円安でもなく円高でもないほどほどの範囲に動きを収める必要がある。

 

今のような行き過ぎた円安は、輸出企業やドル資産を持つ富裕層には恩恵があるが、輸入物の多くなった今日では大多数の国民にはマイナスでしかない。

 

円安は日本の購買力の低下を意味し、取りも直さず国力の衰えを意味する。

円安になると、土地や株などの日本の優良資産が外国人に買われ、日本の利益が損なわれることになる。

我々国民は、安い円しか稼げないので賃金は円安に比例して国際的に見れば低賃金となる。

円安低賃金に不満な人は男性も女性も外国へ出稼ぎに行くようになる。つまり、少子高齢化時代に益々優秀な人材を失うことにもなる。

 

日本の企業は99%が中小企業だが、中小企業は原材料の輸入コストアップを価格に転化できず体力を消耗するばかりで・・・やがて廃業・倒産に追い込まれる恐れさえある。

 

本当にこんなに弱い日本に誰がした…と言いたいところだが、民主主義の社会であればそういう結果をもたらした政権を選んだのは我々国民であり、我々にも責任の一端があることを思うと心が重い…。

 

今さら言っても仕方のないことだが、今日の有り様は少子化をはじめ将来に向かっての課題に何もしてこなかった政治の「失れた30年」の結果に他ならない。

中でも、デフレ脱出策では減税などで国民の消費力を落とさない政策を取ればいいのに、逆に財政難を歌い増税や社会保険料の引き上げを繰り返してきた政府でもあった。

 

アベノミクスなどは有りもしない上層の富がやがて下層にしたたり落ちるなどといってトリクルダウン理論を振り回し大企業富裕層の優遇政策を取ってきた・・・。

しかしトリクルダウンなどはなく、すそ野の大きい中下層は実質賃金が低下するのみで国力は衰える一方であった。

 

今や日本は、国民負担率が50%近くになる「重税国家」である。

日本は、国家(税)による所得再分配機能を「応能負担の原則」に従い税制を抜本的に改める必要がある。

 

世襲制や既得権益に胡坐をかく政治貴族や大企業富裕層を再び競争の渦の中に落とし込み、努力と精進によって新陳代謝が行われる若々しい日本に導く必要がある。

 

社会の流動化を促し、緊張感をもって一日も早く国力を再建し、この行き過ぎた円安を食い止めねばならない。