朝、支度をしながらラジオを聴いていると、アナウンサーが次の曲を紹介した。アーチスト名は聞き取れなかったが、タイトルは「おっさん」と言ったような気がする。でもまさか曲名が「おっさん」?

 

 アップテンポな明るい曲が流れ始めた。歌っているのは爽やか系の声をした男性だ。朝なので音量は控えめにしているから、歌詞はほとんと聴き取れない。が、たしかに「おっさん、おっさん」と連呼しているようだ。「若い子」「ぼくらの時代」というフレーズも聞こえる。どんどん気になってきたのでネットで検索してみた。

 

 ある……。

 存在している。

 岡崎体育『おっさん』。

 

 YouTubeでミュージックビデオも見てみた。すごい。おっさんしか出てこない。なかでもバックダンサー(?)パステルカラー三人組

のうち、ピンクのおっさんのダンスがキレキレでよろしい。メンバーにかならずワンテンポ遅れるイエローのおっさんを入れたのは、何とも憎いチョイスだ。

 

 

 ふと、森高千里『私がオバさんになっても』(1992年)を思い出しす。

 まだピチピチが20年後、30年後に「オバさん」になったときを想像し、「若い子には負ける」と歌う。どんなピチピチでも時が経てばオバさんになるという、女たちがあえて口にしなかった恐れ・不安を形にして世に出したというエポックメイキングな歌だった。

 

 それから約30年。とうとう男性も「おれ、おっさんになった……」とつぶやく(つぶやける)時代になったんだな……と朝から遠い目になった(あっ、電車に乗り遅れちゃう!)

 

 調べてみたら、岡崎体育は今年33歳。とてもその年には見えない。