昔は病院でしか治療が叶わなかった数々の「難病」が、

在宅での治療が可能になってきました。

 

理由の一つに「在宅でも投与しやすいおくすり」が増えてきた、という背景があります。

 

  • 飲み薬のみだったものが、貼り薬
  • 点滴が当たり前だったところに、内服薬

 

こうした流れは、治療に大きな影響を与えます。

 

今回は、そうした例をいくつかご紹介したいと思います。

 

 

 

アルツハイマーに「貼り薬」

 

在宅医療にアルツハイマー型認知症…

切っても切れない関係の病気の1つです。

 

様々な治療薬が出てきています。

今回書かせていただく貼り薬は、

「投与経路が変わった」

のがポイントです。

 

 

アルツハイマーのような認知症の方の場合、

自分が認知症のお薬を飲むと言うことに対して、すごく抵抗を持つ方がいらっしゃいます。

ところが、薬を飲むと言うことではなくて、薬を貼るとなると、そこまでの抵抗感がないことも多いようで、内服薬よりもすんなり受け入れてくださることがあります。

 

もう一つ、貼り薬は24時間交代であるため、血中濃度が安定しやすいです。

飲み薬の場合、どうしても内服した直後にピークが来て、だんだん減っていくという、血中濃度の山ができてしまいますが、貼り薬は皮膚からじんわりと吸収されていくため、血中濃度が一定に保たれます。

このことで、副作用リスクが軽減されるのではないかと、僕自身の経験から、期待しています。

 

こうした面から、

貼り薬の出現は、治療の介入自体が難しかった方へのアプローチの方法の1つになると思います。

 

 

 

 

ただ、一つ懸念材料がが…

 

実際にでもの製品を見せてもらいましたが、思ったより大きい!

 

大きいものはちょっとした湿布位の大きさがあります。

 

個人的には喘息などに使用するホクナリンテープのように、2〜3センチ四方くらいの、コンパクトなものがいいかなと思っていたのですが、いかがでしょうか。

 

僕は小さい方が貼った時の不快感が減るのではないかと思います。今後の改善に期待したところです。

 

 

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)に「内服薬」

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんは、ここ数年で在宅で診ることが多くなりました。

 

ALSとは…

筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけた結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなり、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなり、動かなくなっていく難病です。

 

こうした患者さんを在宅で診る機会が多くなった理由としては様々な背景がありますが、

その中で、ALSの進行を抑える「ラジカット内服治療」の存在が大きいと思います。

 

 

ALSの治療を通院ではなく、自宅で、という患者さんは、そもそも体が動かなくなって通院が困難で、という背景をお持ちの方が多いです。

 

在宅在宅のチームで連携をして、医師や訪問看護が訪問スケジュールを組み立てていきますが、

今までの点滴治療は投与方法が不規則であるため、訪問予定の調節が難しく、

そもそもそうした病期の患者さんは点滴をするための静脈を確保することじたいが困難であったりします。

 

点滴する血管が見つからない場合、静脈から点滴を入れることができません。

投与経路がないと言うことで、治療を中断しなくてはいけなくなる方もたくさんいらっしゃいました。

 

今回のラジカット内服薬はそういった点から解放されるものになります。

少量ですので、ものを飲み込むのが難しい方でも比較的継続しやすいと考えます。

 

もちろん、個人差がある治療法なので、これで長期的にやれば良いと言えるほど、単純な考えだけではないと思いますが、

さまざまな理由で、治療を断念せざるを得なかった方がいることを、間近で見てきた立場からすると、

まだまだ治療法が確立されていない難病の方たちへの、数少ない希望を持つことができる治療法が、安心して長く続けられるという事は、とても大きな光になるのではないかと感じました。

 

 

 

 

 

 

「在宅医療」他人事ではございません。

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