三重県の伊勢で開催された書道展に行った事がある。
会場は賓日館。昔は皇族の別荘だったという、由緒正しき場所だ。国の重要文化財に指定されている。
目の前には二見湾があり、有名な夫婦岩がある。
書道の展示は、重厚な建物の雰囲気に合うものばかりで
様々な書体の作品と、仏画などが組み合わさって
飾られていた。
200人くらい入れそうな
広々とした畳敷きの広間に入ると
大きな屏風の前に、吉祥天の仏像が
置かれた展示があった。
後光がさして美しい形態の吉祥天像が目を引いた。
仏像を作った工房は
人間国宝の仏師も輩出している、
京都の有名な工房だそうだ。
とても神聖な感じがする。
そして、その吉祥天像の後ろに置かれた
横幅3メートルはあろうかという
大きな屏風には
たおやかな文字で
一面に文字が書かれていた。
でも、文字と文字が繋がっているし
万葉がな(?)の崩し文字のようで
ほとんど読めなかった。
吉祥天像の足元を見ると
屏風に書いてある詩が
印刷してある紙が置かれていた。
私はその詩を読んで
自然と彼とのことを考えてしまった。
特に、
“ ばったりと男に遭った
立ちつくしていた男に
吉祥天はぐいぐい惹きつけられ
からだは熱くなって
甘い体臭が溢れでた
その香りを男は胸深く吸い込むと
腕を伸ばしてきた
満天の星を仰ぎながら
吉祥天は強い力に抱かれた”
とか
“耐えきれなくなった吉祥天は
着物を脱ぎ捨てると全裸になり
しめつける男に
濡れてこりっとした唇を突きだした
やがて吉祥天の深いところから
歓喜のうめきが流れでた”
とか
“さすがの吉祥天の欲情も
危うく歪んでうくところであったが
この男によって解放された”
とか
“ 吉祥天はますます艶っぽくなった
夜明けが近づいていた
再び会う夜を感じ合った
吉祥天と
男は
無言の挨拶をした”
とか。
人間国宝の仏師を輩出した工房の作った
吉祥天の仏像と共に、
皇族の別荘だった建物の中の
1番大きな広間に展示されていた作品。
それは下品でも猥褻でもなく、
とても美しかった。
(※次のブログに続きます)