頭がぼーっとするようなキスの嵐に

身をゆだねていると、

「ぞくぞくする。今日はせっかちになってもいい?」と、彼。


ジャケットのボタンを外すという行為にも

興奮しているようで、息を荒くしていた。

私は珍しくフォーマルなスーツだったし、

おそらく彼は年上の女性好きで

だからこの服装がツボにはまっているような

気がした。


興奮して気が急いているせいか、

彼はなかなかボタンを外す事ができなかった。

そんな姿も愛おしく思えた。

ずっとキスしていたかったが、

服を脱がされるがままベッドへ。

 

すかさず上に覆いかぶさってきて、

またキスの嵐。

「ああいう嫌がらせメールが来たのに、僕のことを信じてくれて嬉しかったです」と、

いつも以上に激しいキスだ。

唇が熱くてたまらない。


そのことで、私の体は素直に反応していた。

唇以外の場所に対する前戯が一切無いのに

どうしてこんなに濡れてしまうのか、と、

いつもながら不思議。


それに、彼との秘密の関係を知っている誰かから

嫌がらせメールや嫌がらせの非通知着信があって

どうしよう、と思い

ヒヤヒヤ・ハラハラしたのは事実。

そして、彼から離れなきゃと思ったはずなのに、

逆向きのベクトルに燃え上がってしまった。


冷静に考えたら、

ゼロの状態から1000に信頼が増えるのではなく

マイナス1000からゼロになったくらいなのに、

特殊なシチュエーションが重なって

どういうわけか、


 “そんな嫌がらせに負けない”“一緒に立ち向かう”という感じになってしまった。同じ舟に乗ってしまったんだから、というような、まさに吊り橋効果だったのかもしれない。


きっと脳がバグったんだろう。