ミーティング場所が、彼が遠くの赴任先に行ってしまう前に、最後に会った外資系高級ホテルの隣のビル内だった。あの時は、今まで会っていたラブホテルとは全く違う場所を予約してくれて、かなり非日常的な1日を過ごしたので、嬉しいと同時に、これで本当に最後なんだな。。と寂しい気持ちになった。そこの予約をしてくれたと聞いた時も1人で泣いたし、前夜も悲しくて眠れずに寝不足だったのを覚えている。
その後、結局、私が彼の赴任先に押しかけたり、彼が帰省中に部屋を借りて頻繁に会ったり、今回も一緒に密会旅行に行ったりしてしまっているのだけれど。。
今回、ミーティング場所に電車で向かいながら、彼の赴任先に行った時に一緒に聞いた曲を集めたアルバムを聴いていたら、思わず涙が出てきた。
かなり泣いてしまいそうだったので、聴くのをやめた。”今すごく会いたいです“と書いたら、”会いたいね“と返事。
その後、ミーティング場所に向かう途中に、彼と会ったホテルの前を通りかかった時に彼からメッセージが来た。“あの時は楽しかったなぁ。蕩けてたよね”“そうですね、シャーベットも蕩けてましたね“
なんだかすごく胸がいっぱいになったけれど、その直後から真面目なミーティングだったので、彼にその旨を伝えて一旦頭を切り替えた。
ミーティング終了後、彼にメッセージ。
すごく電話したかったけれど、
何かの作業をしているようだったので、
終わるまで待っていた。
作業が終わった途端、“電話していい?"と聞くと彼からコールが。
むしょうに彼の声が聞きたかった。
彼は、さっきまで自分がやっていた作業や仕事周りの話をしていた。
私はタイミングをみて、“今日は、あのホテルの近くに行って色々思い出しちゃったから、すごく電話したくなったの”と可愛く言うことができた。
しかも言いながら、予想外な事に、なぜか瞬時に泣きそうになってしまい、慌てて咳をして誤魔化した。
“ねぇ、身体にシャーベット塗られてたよね。あの時は本当に最高だったなぁ。非日常感がすごかった。”
“ですね。そして、あの時が最後だと思ったのに、あれ以来もっとエスカレートしちゃった気がします。”
“そうだよね。終わりだと思ったのに、逆に何か始まっちゃったよね”
“あれ、あの小説みたい。出口だと思ったのに入り口だった、みたいな。”
“あはは、そうだね、僕たちの関係もあの世界観に近づいてきたね。なんだか思うんだけど、次に会うのはビーチとかな気がするよ。ハワイとかさ。”
“あ!私もさっきのチャットの中のヤシの木のスタンプを見たときに思いました。街の中はいろいろ行ったから、次はビーチ良いなって”
本当に話したいのは、そういうことではなくて
なぜか電車に中で泣けてきたとか、今も話していていきなり泣けてきたとか、そういう事なのだけれど。
でも、彼はそういう話をされても困るだろう。
自分も、そういう話をしても、それでどうしたいとかどうしてほしいというのが出てこないので、自分自身も困るだろう。
だから、ビーチの話のように気楽な明るい話になって、
それはそれでよかったのかもしれない。