「ビンボー魂」 
      
           著者:風間トオル (中央公論新社)




TVでミヤネ屋のミヤネさんが紹介しているのを見た。
風間トオルがゲストで話していた。
淡々と、あるがままを。
年は重ねているが、
私たちの知っているかっこいいままの風間トオルだ。

そして数日後、本屋に行った。
本屋の本棚を2周くらい探し回ってやっと見つけた。

手にとって本を開いた。
目次を見て、神様が現れたページを数行読むことにした。 
涙が溢れた。


目を閉じた。
本を閉じた。

涙が止まってから、


カウンターで支払いを済ませ、
その夜、心構えを整えてから

ベッドに横たわり、
時には起き上がって座り、
またゴロゴロと寝っ転がり、
たまには夜空を眺め、

ゆっくりとしっかりと
一行一行、心を込めて大切に読んだ。




それから数日が経った今、
本を読んでいる間、
最初から最後まで涙が止まらなかったのか、
それとも泣かないで読んだページもあったのか、
どのシーンで涙が出てきたのか、
あまり覚えていない。




でも


 先生とのお別れのシーン で号泣した

 のは覚えている。


 涙が後から後から溢れ出てきて、止まらない。





まるで、映画のワンシーンのように
主人公と先生、
映像がそこにあった。
私の部屋に映し出されているかのように


本から目を離し、
少し右前方にあるその映像を何度もなんども見直した。
声を音をなんども聞き直した。






大人になった主人公が
勝手におぼっちゃまだと決めつけていたトレンディドラマのかっこいい主人公が
そこには居た。
そして肩越しに振り返った。


なんどもなんども涙があふれ出た。







先生が呼ぶ声をなんども聞き直した。
まっすぐに見つめる目をなんども見つめ返した。
そしてその閉じたままの目を思い出し、
私も目を閉じた。





涙が溢れて溢れて












そんなシーンを置き去りにして


次の行に読み進んだ。












そして本は
あっけなく終わった。











ありのままに