ホエールです。
土日は今年から加入させていただいたJSCA(日本セイフティーカヌーイング協会)30周年イベントのため臨時休業をいただき、そのまま月曜日定休日となってしまい3日お店をお休みしておりました。申し訳ありませんでした。
また後日、この素晴らしかったイベントの報告はさせていただきたいと思います。(他にアップ予定の記事も溜まりに溜まっていますので少し後になりそうです・・・)
今日は厳しい話題をブログに書かなければなりません。
出張中だったので知らなかったのですが・・・イベントが無事に終わって移動した先で仲間のカヤックアングラーからのメールに気づきました。その内容に心臓が凍りつきました。
三番瀬でカヤックの救助事案が起こってしまったそうなのです。
ただ、幸いにも命に別状はなかったということで、心の底からホットしました。命が一番大切ですから。
概要としては、
三番瀬で動力船の曳き波で沈→携帯やカヤックをロスト→通りかかった船に発見されて救助
ということです。
Kayak55でカヤックを買っていただいた方ではありませんが、用品は買っていただりもしたし、ホームが重なっているのでお顔は存じ上げています。重ねてになりますが、まずは命があったことを、救助に関わった方に心から感謝したいと思います。本当に良かったです。家で待っているご家族のもとに無事で戻る。それが一番大切です。命が一番大切です。
すでに救難者ご自身でSNSで状況を書かれていらっしゃいますが、ここでは直接リンクでの転載は控えます。
前から書いていますが、カヤックで大海原に出ている以上、誰しもが(どれほどベテランの方でも、もちろん僕でも)いつなんどき自分が救助される側になるかはわかりませんよ。ですから、個人への非難などの風潮は絶対に避けるべきだと考えています。
僕はリアルな遭難状況は経験はありません。その時にはパニックという要素が入って判断ミスなどはどうしても起こるはずです。だから非難することはできません。そのパニックの部分まで想像して今後に活かすことが大切だと思うのです。
事故を教訓として同じことを繰り返さないためにはどうしていくべきかをみんなで考えていくことを重視していきませんか。
カヤックの事故はいくつかのリスクが重なっていき、そのリスクの数が多くなっていくことでより重大な事故になっていくと僕は考えています。そして、そのリスクがたくさん重なり合ってどこかで一線を超えたところで死亡事故になってしまう。
逆に言えばご自身が出艇される際はそのリスクをひとつひとつ消していけば、より安全に楽しめるということになるわけです。
今回の事故もリスクがいくつか重なっています。
個人情報につながる点は避けて(艇のタイプなど)、教訓としてそのリスクを箇条書きとして上げてみます。
【風が強いリスク】
風速の過去ログを見てみました。やはりこの日は風が強かったのではないかと感じました。この段階で出艇を諦める、もしくは途中で風が強くなったと感じて上がっていれば、事故自体が存在しなかったことになります。
【航路につながるブレイクを攻めるリスク】
今回は動力船の曳き波で沈・・ということですが、もしも航路から距離を置いたシャローエリアで釣りをしていればまず沈するレベルの曳き波を立てるような船が通ることはなく、曳き波自体をくらうことがなく、こちらも同様に事故は存在しなかったわけです。
今回の事例とは別の話として、この2つのリスクが重なるとリスクが増大します。
もしも航路付近で沈して、その時に強風で風向きが悪ければ、航路に流されて大型船に轢かれてしまうという可能性も出てくるからです。
【セルフレスキューができないリスク】
今回の事例では艇を一度は確保されています。即座に再乗艇が成功していれば無事に自力で戻れたかもしれません。もちろん実際のフィールドで荒れている状況では練習どおりにはいかないはずです(ここにも風速のリスクが絡んできます)。自分もレスキューの練習は重ねていますが荒れた実際の現場でできるかわかりません。だから今回の事例でも技量不足とひとことで言うことはできないです。ただ、セルフレスキューが熟練の域まで達していればもしかしたらこのリスクを避けることができたかもしれない、その可能性がある限り、やはり練習は必要だと思うのです。
【携帯をロストするリスク】
【カヤックをロストするリスク】
カヤックのロストは風のリスクと連動しています。昔のユーストリーム放送の動画で実験したことがあったのですが風速6mぐらいで艇の確保をミスすると流れていくカヤックにPFDを着た状態では泳いでも追いつけなかったです。(だからといって下記にあるようにPFDは救助を待つ上で最後の砦、脱ぐことは絶対にやめてください)
そして・・・携帯をロストという段階でリスクは最大限となっていきます。死亡事故になってもおかしくない事例だったと思うのがこの点です。
ここまでくると、自分の行動ではどうにもならず、あとは運次第となってしまうからです。
その後、通りかかった船に発見されて助かったということで、それが最大の幸運です。本当に良かったです。
この時、PFDを着ていたことが最後の砦になっています。PFDの大切さ、痛感しますよね。私の周りではあまり聞かないですが、一部地域でPFDを着けていないカヤックアングラーの目撃例があったというブログを見たことがあります。その時点でリスクはいきなり最大級になっています。
逆に考えて、今挙げたリスクを逆転の発想でひとつひとつつぶしていけば、安全に楽しめることにつながっていきます。
【風が強い日は出ない、強くなってきたら即撤収】
【三番瀬では航路のブレイクで釣りをしない】
この2点が今回の最大ポイントになっていると僕個人は思っています。この点を注意することで事故自体が存在しなかったからです。リスクがぐっと下がります。
【再乗艇(セルフレスキュー)の精度を上げる】
さきほど挙げたようにリアルな沈は経験できないわけで、実際にその状況下でできるかどうか?はなってみないとわからないかもしれません。でも練習を重ねておくことは無駄ではありません。できる確率は上がるはずですし、なにより再乗艇の自信があれば精神的な余裕が生まれるはずで、極限状態において、その精神的な部分がかなり大切だと思います。
【携帯を使える状態でPFDのポケットに入れていく】
今回の事例ではPFDに入れていた防水パックの携帯のタッチが濡れて作動せず、パックから出したところで落下させてしまいロストしてしまったそうです。今はほとんどの方がタッチパネルのスマートフォンでしょうから、濡れた状態で作動するか、これは僕も自分が使っている防水バッグで実験をしてみたいと思います。うまくいかないようであれば何か手立てを考えなければいけないでしょう。これはスマホ時代のカヤックアングラー全員の今後の課題です。携帯が作動さえしてくれれば118番に通報することで助かる可能性が格段に上がります。
【水温に合わせたウエアリグをしっかりしておく】
特に秋以降、これからの季節は水中に落水した際の低体温症のリスクが日に日に増大していきます。もし再乗艇できず水中で待つ形となれば、救助までの時間がかかればかかるほど死亡に近づいていきます。水中は空気中の20倍で体温を奪っていくと言われています。ウエアを着ていても低い水温に長時間いればいずれにしても危険ですが、季節に合わせたウェットもしくはドライスーツの着用によって助かるかどうかの時間差が確実に出てくるはずです。
春と秋は三番瀬のシーバス釣りが盛り上がってくる時期です。今年から始めたカヤックアングラーの皆様も多くチャレンジされるかと思います。
Kayak55のトップページよりリンクが貼ってありますが、数年前に三番瀬でのカヤックフィッシングの注意点をまとめたブログがありますので、ぜひこの秋にチャレンジされる方は上記リスクの軽減を考えた出艇と装備、そして下記のブログを一度ご一読いただきたいと思います。
要約すると・・
【強風時に出ない】
【航路から十分距離を取る】
【海苔棚に近づかない】
【漁師さんの船の航行の邪魔にならないようにする】
【駐車のマナー】
(日・祝以外は路駐は禁止)
【公園自体が多くの方が訪れるので艇運搬のマナー】
(公園内では針のついたルアーはボックスへ、ロッドも左右に開いてしまうフラッシュではなく寝かせて運搬)
【水道のマナー】
(艇などを洗わない)
【出艇の場所のマナー】
(潮干狩りのネットをまたがないように、公園の右端や左端まで運んでから出す)
【フラッグの装備の遵守】
(シャローゾーンも漁師さんの小型ボートは頻繁に通ります)
ぜひお願いします。
この過去のブログでも一番スペースを取って書いておりましたが、今回の事例からも、ぜひ航路に近寄った釣りは避けていただき、航路からじゅうぶん距離を取った安全なゾーンで釣っていきましょう。
シーバスはシャローでじゅうぶん釣れます。いや、むしろシャローに捕食に出てくる魚はデカイ。過去には自分ではないですが90アップも数本出ています。自分も80オーバーはやはり1m台のシャローで釣っています。たとえ釣れなくても、次に釣ればいいではないですか!
危険につながりやすい航路のブレイクでの10本より、安全性の高いシャローの1本の方に価値を置いた釣りをしていきませんか。
もちろんシャローゾーンは比較的安全性が高いとはいっても風が吹けばむしろ水面が荒れます。風速の弱い日のみを選んで遊んでいく、これはもっとも基本となる部分だと思います。