相続税における土地の評価は、相続税法で「時価」によると定められています。
ただし、時価といっても実際に売買がされていない土地の評価を算出するのは難しいことです。
本来、税務の世界では、誰が評価しても土地の評価額が同じにならなければなりません。
評価する者によって評価額が異なるのでは、租税の原則である納税者間の公平が保たれないからです。
しかし、土地は極めて個別性が強いことから、すべての事情を想定して評価基準を定めることは難しいといえます。したがって、ある程度包括的な規定ぶりにならざるを得ません。
例えば、評価基準の中には、「著しく不適当」「著しく不合理」「実際の面積」「相当と認める金額」「著しく広大」「通常必要と認められる」といった数多くの包括的表現があります。
このようなグレーゾーンがあることにより、評価する者によって評価額(延いては税額)が異なる、10人が評価すれば10通りの評価額があるという事態が生じているのが現状です。
なお、ここでいうグレーゾーンとは、適正な評価のために判断に迷う部分のことをいいます。
制度上2つの方法があってどちらかを選択することによって節税が図れるといったことを指南するものではありません。
(参考)
『グレーゾーンから考える 相続・贈与税の土地適正評価の実務』2014年〔清文社〕はしがきより
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