ご存知のように転移ありステージ4の尿路上皮癌の化学療法は長らくシスプラチンをキードラッグとしたファーストラインしかなく、耐性が付いたところで手がなくなるという状況が30年近く続いていました。
2017年末にキイトルーダが承認されたことにより待望のセカンドラインが登場し、化学療法が手薄だった尿路上皮癌にもいよいよ21世紀の医学の進歩の波が届き始めました。
今後もますます新薬が登場し治療が充実することが望まれています。

このような状況の中、現在カナダのオンタリオで開催されているカナダ泌尿器腫瘍サミット(CUOS2019)にて、「転移ありの尿路上皮癌治療の今後5年の展望について」という基調講演が行われたという情報をキャッチいたしましたので共有いたします。

記事:
CUOS 2019: Five-Year Outlook in the Management of Metastatic Urothelial Carcinoma

記事によると、セカンドライン治療としては以下のようなものが動いているようです。
・免役チェックポイント阻害剤
・Enfortumab vedotin
 尿路上皮癌のほとんどが発現しているネクチン4をターゲットにした抗体薬物複合体。筋浸潤膀胱癌では93%に発現している。治験第二・三相が進行中
・分子標的薬
 FGFR阻害剤のErdafitinibは治験第二相で奏効率40%。
 同じくFGFR阻害剤のRogaratinibの研究も進行中
 他にもRTK/RAS阻害剤やPI3K/AKT/mTOR阻害剤なども進行中

特に免役チェックポイント阻害剤については演者のBellmunt医師は次のような議論を展開したようです。
・アメリカのFDAは7種類、EAUは5種類の免疫チェックポイント阻害剤を尿路上皮癌に承認済みで、ファーストラインとして使われることもある
・FDAは2018年5月に免役チェックポイント阻害剤単剤治療をPD-L1が低発現の患者にはファーストラインとして使用せず、代わりにシスプラチンやカルボプラチンベースのものを行うよう声明を出した
・術前投与としてキイトルーダを投与した臨床試験ではpCRが39.5%
・同じく術前投与としてテセントリクを投与した臨床試験では全体のpCRが29%、うちPD-L1陽性群では40%、PD-L1陰性群では16%。
・筋非浸潤でBCGが効かなかった膀胱癌への臨床試験ではキイトルーダの完全奏効率は38.8%

他にも免役チェックポイント阻害剤の効きに影響するmutation burdenのようなバイオマーカーについてや、膀胱癌の6種類のサブタイプとそれらの分子的な特徴とターゲット治療についてなども論じたようです。

目新しい情報はほとんどありませんでしたが、記事を読んでいるだけでも現場の泌尿器腫瘍の先生方がお祭りのように新薬が続々出てきている状態に興奮しているというのが伝わってきました。
30年間ほとんど動きがなかった分野についに21世紀の治療の波がやってきたのですから無理もないかもしれません。
触れられている新薬のうち日本でも治験が進行中のものがいくつもあります。
一日も早く承認が出て、セカンドライン、サードライン、フォースラインまでと手厚い化学療法が存在し、それらを自分のがんのサブタイプに合わせて選べるような時代が来てほしいものです。