昨年の今頃ですが、租税に関する訴訟の補佐人制度について本ブログでご紹介しました。
補佐人制度がどのような制度なのか改めて簡単に説明しますと、税金に関する訴訟が起こった際に税理士が弁護士と共同で租税訴訟に参画し、税務に関する専門的な知識や経験に基づいて、納税者の主張をサポートする制度です。
一般的にはあまり知られておりませんが、納税者にとって非常に重要な制度です。

なぜ、1年前に紹介したブログの内容を改めて書くことにしたかといいますと、前回のブログで、昨年の4月から東京税理会と提携している筑波大学大学院で補佐人講座を受講できることになりました。

とお伝えしておりましたので、その続報です。
大学院の授業はオンラインと教室のハイブリッドで行われ、受講者は自由に選ぶことができるので私は基本的にオンラインで受講しました。
訴訟に関わる知識の修得が目的であるので、民事訴訟法や租税続法、租税争訟法など普段仕事ではあまり出てくることのない法律を学ぶことができ新鮮な気持ちで学ぶことができました。
仕事をしながら授業に出席し、課題の調べものをしたりレポートを提出したりと、色々と大変でしたが、仕事のなかでは中々得られない経験を積むことができ、税の世界の見分が広がり専門知識を深めることができたと思います。

受講して驚いたことは、まだまだ日本の税務訴訟における納税者の勝訴率が低いということです。
税務訴訟で納税者が勝訴する率は概ね10%前後と相当低い水準となっております。
つまり、税務訴訟を起こしてもほとんど課税当局側の主張が通ってしまうというのが現状です。
色々な要因が考えられますが、一つは税法というのが他の法律と比べてもかなり特殊で条文の解釈も非常に難解な法律なので訴訟においても高い専門性が求められることが挙げられます。
納税者の相手方は国税出身のスペシャリスト達でチームを編成し訴訟に臨んでくるのに対して納税者側は、法律の専門家である弁護士に依頼したとしても必ずしも課税実務や税法に精通している方ばかりではないため、納税者の主張が上手く伝わらないということも影響していると考えられます。

補佐人制度を利用することで、以下のようなメリットがあります。
・納税者側の主張がより明確になる
・裁判所の理解を得やすくなる
・税法解釈で対等に議論できる
・勝訴の可能性が高まる

補佐人については、税理士法2条の2において税理士の業務として規定されており、税理士であれば誰でも補佐人なることができます。
しかし、税務訴訟では実務の知識だけではなく訴訟手続きに関する知識も要するため、訴訟に関する知識をしっかり修得していなければ実務で対応することは困難です。

大学院で補佐人研修が完了した税理士は東京税理士会の補佐人名簿に登録されるとのことなので補佐人を選任するようなときには、そのことも参考にしていただけたらと思います。
今後ご依頼があれば補佐人として納税者の権利救済に全力でサポートしていきたいと思います。

SK