ワン・モア・ヌーク(新潮文庫)

 

タイトルのワン・モア・・ヌークのヌークはNUKE、つまり核爆弾のことです。

 

ノー・モアではなくて、もう一度、核爆弾を・・・という、原爆テロのサスペンス。

 

2020年3月、オリンピック開催を目前に控えた(現実は違ってしまったけれどww)東京がその舞台。国立競技場に原発を仕掛けるテロ集団と、それを察知し必死で阻止しようとする人々・・公安、IAEA(国際原子力機関)、CIA、もちろん自衛隊や米軍海兵隊も加わっての壮絶な情報戦と肉弾戦が繰り広げられます。

 

おもしろかったです、 が、かなりリアルな話? 緊張感半端なくあせる考えさせられる一冊でした。

 

 

ちょっと、ネタバレしてしまいますが。

 

 

 

 

 

 

このテロ計画。実行予定が3月11日。そう、3・11からちょうど9年目。

 

テロリストのひとりはあのフクシマで人生が変わった。欺瞞だらけの為政者の罪を問い、我関せずの人々にも問いを突き付けたい。

大都会東京に放射線の脅威と苦しみを知らしめたい。

なので、人命まで犠牲にしたくはない。事前に犯行声明を出して人々には退避してほしい、大都会のど真ん中で原発を小さく炸裂させ、東京に言わばフクシマを再現して、その恐怖と破壊力を人々に体感してほしい・・・・・

 

ところがほかの犯行メンバーは違う目的を持っている。ISISの生え抜きテロリストは実は大虐殺を目論んでいる。刻々と時間が過ぎる中での彼らの探り合いとだまし合いも凄いですあせる

 

本の発行日が今年2月なので、まさにリアルタイム的に読んだ方も多いのでは。

著者の藤井太洋氏の、ある意図も感じられるような気もします。

 

 

 

どんな理由があったとしても犯罪は絶対にいけない。ましてや、恐ろしい放射線を残す原爆テロなど最低です。

 

でも。一方で思います、

国家と呼ばれる集団?、彼らがやってきていることは犯罪とは呼ばれないけれど。でも「平和」や「国益」という名のもとに、どれだけの人々が命を失い苦しみを背負ってきたか。

「戦争」がその最たるものだと思っているのですが。「一人殺せば殺人だけれど、百万人殺せば英雄」 と誰かが言ったようなw

 

この本にちょっと出てくるものだけでも、例えばウイグルの人々の状況、サイクス・ピコ協定、マンハッタン計画で雇用され被爆した五千人のナホバ族とか・・・・・頭のいいトップの方々は国のためにいろんな知恵を巡らすわけですねww

 

原爆もそうですね、最高の知識を持った専門家たちが膨大な費用と時間を使って作り出した最強(最悪)の武器。

今回読んで、作り方もものすごく難しいのを知りましたww     プルトニウムやウランがあればすぐできるものではないらしいww

しかも核反応を起こさせるのはさらに難しいっぽいです? 

本作中、何とか被害を抑える方策として、仕掛けられている原子爆弾を砲弾で打って壊す!とかいう案も出たりw 放射性物質は溢れるけれど核爆発よりはマシとかww

あ 日本ってプルトニウムの大量保有国ですよねあせる 話は飛びますがwww

 

 

 

というわけでまたダラダラ長くなってきたのでこの辺で。

なかなかの力作だと思いました。

ラスト付近とそのあとのエピソードは・・・もうウルウルでしたよ汗