漂流・サバイバル13

~「漂流教室」生きるエネルギー~

 

 

 

 では今回のプチ(プチじゃないかもしれない)ネタから…。

 

 昨日、「ロボコン(2003年©ロボコン製作委員会)」のビデオを見ました。

 今となっては古いものだし、正直B級映画の範疇に入るのかもしれない作品なのだが、そこそこおもしろかったです。

 

 長澤まさみはデビュー4年目で、これが映画の初主演作。途中「夢先案内人」を車の荷台で歌っていたのが、すごくうまかった。

 

 映画は、理系好きというだけで高専に入学した落ちこぼれヒロインが、補習を受ける代わりに、ロボコン(ロボットコンテスト)に参加させられ、嫌々ながらもがんばる……という感じのストーリー。

 

 舞台になっているのは山口県の徳山高専(高等専門学校)で、調べてみると今までに全国優勝2回準優勝1回という、ロボコン界隈じゃ結構有名なとこだったらしい。

 

 現在の日本全体のロボコン熱はどうなってるのかは、ちょちょいとググるだけではよく分からなかったが、熱い気持ちをもってがんばってる若者は、少なくとも数万という単位では存在してるみたいだ。

 

 日本の将来は明るいかもしれない。

 

 NHKの「魔改造の夜」というモノづくりの番組が大好きで欠かさず見てるのだが、参加者の中にはロボコン出身者が結構いることに最近気が付いた。ロボコンは確実に日本のモノづくり界の役に立っている!

 

 この映画に小栗旬くんが出ていて、「天才」という触れ込みの役柄だったので、いつその天才ぶりが発揮されるのかと期待して見てたのだが、……どうも、その、残念な結果に終わってしまいましたあ~。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回取り上げる作品

 

「漂流教室」 漫画 楳図かずお サンデーコミックス 1972

「野性のロボット」 ジュブナイル ピーター・ブラウン 福音館書店 2018

※ ネタバレ有です。ご注意ください。

 

 

 

「漂流教室」

 

 自分と「漂流教室」との出会いについては、以前「漂流・サバイバル01」の中で書いたので、ここでは省略。

 

 大人になってうれしかったことの一つは、子どもの頃にはとても全巻そろえられなかったモノが大人買いできること。「漂流教室」を全巻買ったときに、すごく実感した。

 

 激しい地震をきっかけに時空がゆがんだため、小6の高松翔たちは大和小学校の敷地丸ごと未来空間に飛ばされてしまう。そして恐ろしい出来事が次々と翔たちに襲い掛かってくる……。

 

 死ぬ。とにかく人が死ぬ。登場人物のほとんどが子どもたちなので、主に死ぬのはその子どもたちになる。自殺、殺し合い、不注意からの事故、先生に殺される、怪物に食われたり切断されたり……。これ、少年誌に載せてもいいものなのか?

 

 青年以上の男女混成漂流サバイバルというと、すぐに女性への暴行・レイプなんかが横行する事態となって辟易することがあるが、この作品にはさすがにそんな場面は出て来ない。だが、一部分だけを評価するならやはり残酷さが目立つ作品であることは否めないだろう。

 

 …だが、この作品には鬱々とした暗さはない。と言うかちょっと不思議な明るさを持っている。おしまいまで読んでも嫌な気持ちにならない。むしろ「きっと翔たちは力強く生きてゆけるだろう」と、作者の言葉とおんなじことを思ってしまう。

 

 翔たちが子どもであること、それまでのストーリーで翔たちが強い意志をもってがんばろうとする姿をずっと見て来たからなのだろうと思う。

 

 水・火・食料・住まいなどを工夫して確保するというようなサバイバル要素はほとんどない。せいぜい井戸を掘ろうとしたり、雨水を溜めようとしたりする程度。

 

 理屈を言えば、ご都合主義の展開はちらほらある。…が、そんなものはこの作品のもつパワーで簡単に吹っ飛ばされると思う。まだ読んだことのない人はぜひどうぞ。

 

 「ただいまってなんていい言葉なんだ」とか「ぼくらが勉強してきたことにはちゃんと意味があった」などというセリフは、普通なら読んでるこっちの方がこっぱずかしくなるか、な~にをエラそうなことをほざいとんじゃあ~とムッとしてしまうかのどちらかになるだろう。

 

 この漫画の中では、そういう言葉が不思議にスッと入って来る。妙に納得してしまうところがある。ゆたぼん君辺りにもまあ読んでもらいたいかな。

 

 翔くんへ。西さんへの気持ちはたぶん憧れ半分だと思うよ。咲っぺがいいよ。咲っぺにしときなさい。☆は4の上。

 

 

 

 

 

「野性のロボット」

 

 ロボットを積んだ貨物船が沈み、ただ1体だけが無人島に流れ着く。海岸で遊んでいた、好奇心旺盛なラッコたちによって偶然にスイッチが押され、ロボットが起動する……。

 

 ついにロボットもサバイバル?

 

 通常のロボットなら自主的?に動くのはせいぜい自分の身を守る活動ぐらいに限られるだろう。しかしこのロボットはとある理由からちゃんとサバイバル生活をするのだ。

 

 水の近くにちゃんと家をつくり(材料の木は手刀によってスパンスパン切れる)、火を起こし(人間だと火おこしのコツがーとか、手の皮がむけるーとかいろいろうるさいだろうが、そういうことは無論ない)、果樹園や畑をこしらえる。

 

 主人公のロボット・ロズは、正式にはロッザム7134型という。カレル・チャペックの小説「ロッザム万能ロボット会社」から来ているらしい。

 

 ロズは島の自然に溶け込むために、長い長い時間をかけて周囲の生き物をしっかり観察し、その結果生き物たちの会話の内容が分かるようになる。すごいな。

 

 本来庭仕事のためのロボットであったらしい。ちなみに太陽エネルギーを取り込むことでかなりの長期間活動できるらしい(半永久的にではない)。

 

 漂流・サバイバルとしてはさほどのオススメではないが、読み物として大人の鑑賞にも耐えるものだと思う。ちょっともの悲しさを漂わせた作品で、底抜けの明るさではないが、たまにはこんなのもいい。☆は3。

 

 

 今回はここまで。続きは次回のupで。

 

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