ご無沙汰してしまいました(;´д｀)
しかしMartinのナットはヘッドの角度と同じ角度で取り付けられているため形状が少し違くなっており、その形で指板Rに合わせたヒサシを作るのは非常に難易度が高く、苦労しました(^^;)
ナットも0.1ミリ単位での調整になるため気が抜けません。
なんとか計測、溝切りは完了しました。
そしてそれに合わせてサドルも作成していきます。
全体的な微調整も終えて最終的な計測をしていきます。
ついついバタつくと滞るクセはなんとか直したいところです(^^;)
さて、先日MTS(ミネハラチューニングシステム)のご依頼が遠方よりありまして、、、
送ってこられた楽器が1979年製Martin HD-28。
いろいろ悩みが多い年代の個体ですね(^^;)
ご依頼主はプロの作曲家でいらっしゃる恒見コウヘイ様。
誰もが聞いたことあるであろうジャパネットたかたのテーマソングなどを作られている方です^ ^
依頼内容はこのようなものでした。
MTSインストゥールをお願いしたいギターは「1979年製 Martin HD-28」です。
ご存知のように70年代のMartinは製造時、治具が狂っていたため、2mm程度ネックよりにセットされたことによりフレット音痴と呼ばれるギターが多くあり、このギターもその1本のようです。
ただ個体自体はよく鳴ってくれているので、なんとかピッチを修正したいと思っていましたが、2店ほどのリペアショップへ出しましたが、調整はなされたにも関わらず結果は変わらずでした。
ご専門の立場からギターは見て頂ければ状態はお分かりになるとは思いますが、一通り書いておきます。
チューニング後、
Eコードの6弦（E）と3弦（G#）はG#がシャープ
Aコード5弦（A)と2弦（C＃）が合わない
Cコード、5弦（C）と2弦(C)を合わせた場合、4弦（D）と2弦（D）が合わない。
3弦（G）と1弦（G)で合わせた場合、2弦5フレットEと1開放（E）が合わない。
他、ハイポジションのオープンコードはことごとく合わずうねりが出る状態です。
このように仕事柄ピッチにはシビアだとは思うのですが、実際に個体を計測してみるとやはりブリッジ位置は1.5〜2ミリ程前になっており、オクターブ位置を捉えきれない状態になっておりました。
ピッチも全体的にシャープ気味になっており、かなりうねりがでています。
それを踏まえた上で製作していきます。
今回はビンテージギターなのもあり、指板側のカットはせず、指板の上にひさし状に乗る加工法にしました。
しかしMartinのナットはヘッドの角度と同じ角度で取り付けられているため形状が少し違くなっており、その形で指板Rに合わせたヒサシを作るのは非常に難易度が高く、苦労しました(^^;)
ナットも0.1ミリ単位での調整になるため気が抜けません。
なんとか計測、溝切りは完了しました。
あとは使うナットは元々かなり厚みのあるものを使用しているのですが、ナット自体が前にいくため元々のナットの後ろ側が隙間が出来てしまいます。
ナットを厚くしすぎて弦の乗る幅があり過ぎるのもあまり良くありませんので埋め木をして調整していきます。
そしてそれに合わせてサドルも作成していきます。
ナットが前に来るとオクターブ位置も前に動く傾向があるのでちょうど良い具合に収まりました。
全体的な微調整も終えて最終的な計測をしていきます。
ピッチのヨレも大幅に改善されて音も太くなりました。良い感じに仕上がりました。
そして、この個体を発送させて頂き、後日ご連絡があり、感想をいただきました。
ただいまギターを受け取りました。
ここまでチューニングが合うようになるんですね。
G・E・D・Aコード全て気持ちいいです。Good!!
何軒かのリペアショップからはこれが限界と言われ、一時は手放そうかと考えましたが手放さないでよかったです。
この料金でこのピッチが手に入るなら、決して高くはないと思います。
日本のリペア技術は高いのに、どうしてこれまでMTSのような発想がなかったのか不思議です。
ピッチに神経質な私にとってMTSは、力強い味方になりました。もう他のショップには出せませんね。
どうもありがとうございました。また何かあればよろしくお願いします。
こう言っていただけるのは技術者冥利に尽きますね^ ^
どうしても今現在では某USAのチューニングシステムが認知されておりますが、決してそれに負けないだけのものだと信じて作業しております。
これからもっと認知していただけるように努力して、少しでも弾き手のチカラになれたらと思っております^ ^
このミネハラチューニングシステム(MTS)気になる方はお気軽にお問い合わせください^ ^
長々とありがとうございました^ ^