Yside









「あの.....チョンさんは僕のこと好きなんですか?」





「チョンさんの気持ちを教えてください」












俺はチャンミンの大きな瞳に捕らわれて
動けない。



それは身体だけではなく、
俺の気持ちを伝える為の口も声も全てが固まって動かない。





暫く沈黙が続いて、
チャンミンは痺れを切らしたのか、
一気に話し出した。




「すみません。忘れてください」

『は?』

「あなたは人タラシでした。
そのことを忘れていた僕が悪いんです」

『.................』

「あなたはサキちゃんさんが好きだったのが、今は別の方が好きだと言っていたので.....
それにこんな冷凍庫な僕にも普通に接してくれていたから」

『.................』

「勘違いしてしまいました。
大変失礼しました」

『.................』

「どうぞお帰りください。
引き止めてすみませんでした。
サークルは辞めるでいいですよね?
あ、教科書は不要でしょうから捨ててください」

『.................』

「それでは短い間でしたが、
まぁ、それなりに楽しかったです。
ありがとうございました」








なんかもう関わらないと言われているみたいで、
見えない壁がとても分厚い。





そもそもチャンミンは何故こんなにも怒っているんだ?
キスを2度もしたから?
まぁ怒る理由には十分すぎるけど。



それに俺の気持ちをなにひとつ話していないのに、
聞く耳持たずって感じ。
なんなら早く帰れって圧まで感じる。








なんか、



















『むかつく』

「.................」

『なんなの?
チャンミンのこと好きなのか聞いといて、
俺なにも答えてないのに、
勝手に自己解決してんじゃねーよ』

「.................」

『俺のこと人タラシって言うけど、
俺誰にでもこんなんじゃねーし、
チャンミンだからじゃん』

「..........僕...だから.....?」

『チャンミンだからこんな風に接してるんだよ』

「.................」

『チャンミンのことが好きだから!!』

「...........え、」







あ、勢いで言っちゃった。





やべーこのまま進むしかねーじゃん 







『勝手にキスしたのは悪かったよ?
でもキスなんて誰にでもするもんじゃねーし、
チャンミンだから。
チャンミンだからキスしたんじゃんか』

「.................」





チャンミンは目も口もこれでもかってほど開けていて驚きを全力で表現している。
それは嫌悪感からなのか、
今の表情からはよみとれない。





『なんか言えよ』

「..............あ、えっと...」

『.................』

「.........その....えーと」




チャンミンはさっきまでの饒舌さは何処かへ行ったのか、
ずっとモゴモゴとしている。





『.......勢いで言ってしまって悪かった。
迷惑なのは分かってるし、
チャンミンに好きな人がいることだって分かってる。
だから俺はこのままチャンミンの前から消えるよ』

「............え、ちょっ!」



部屋から出ていこうとしたその時、
俺の服の裾を握ったチャンミン。



「その.....返事を...」

『..........いいよ、
さっきも言ったけど好きな人いるんだろ?分かってるから』

「好きな人...それはいますけど.....////」

『キュヒョンなんだろ?』

「..............は?」

『キュヒョンが日本語の勉強を諦めたからチャンミンが勉強しだしたんだろ?
前に言ってたじゃん。
好きな人の為に勉強しだしたって』

「.................」

『だから俺のことは忘れて.....』




ここまで言っているのに、
チャンミンは俺の服の裾から手を離さない。
それどころか下を向きながら、
ブツブツと言って、





「あなたはバカですか?」

『.........はぁ?!』

「僕がキュヒョンのことが好き?
そんなことある訳ないじゃないですか。
とんだ勘違いだ」

『じゃあ誰だよ!チャンミンの好きな人って!!』

「.................それは.....」 

『.................』

「......それは...その、」

『ほら、言えないじゃん。
俺に気を使わなくていいから』

「使ってません!
僕が好きなのはあなたです!」

『.................は?だれ?』

「今ハッキリ言いましたけど!」

『へ?.....は?...ん?!』

「チョンさん。
僕はチョンさんが好きです」

『.....嘘だ!』

「なっ?!」




チャンミンが俺を好き?
ないない。絶対ない。
だって俺たちはつい先日俺がこの部屋のドアを叩いた時に出会ったんだ。





チャンミンが俺を好きになる要素なんか無かったし、
なによりチャンミンが日本語の勉強を始めた理由がマッチしなさすぎる。






『そんなわけないない!』

「チョンさん......
僕はチョンさんが好きです。本当に好きです」

『......チャンミン...』




チャンミンはさっきまで下を向いていたけど、
大きな目を少しの涙でウルウルさせている。






チャンミンが俺を好き.....?
そんなまさか。





「チョンさん。
僕はあなたが好きです」

『チャンミン...』





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